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1997
あの日レストランVERANDAHで、Angelが微笑んだ。
「その瞬間、海色の風が吹き抜けた。南フランスを思わせる暖かい日差しの中、確かにレストラン・ヴェランダにはAngelが住んでいた。Angelは、一緒にその華やかなPARTYを楽しんでいたように思う。集うファンの誰もが「橋真梨子との出逢い」を心から喜んだ。
CONCERTはもちろん素晴らしかった。ニューヨークやロンドンでは、真梨子さんの歌が街並みに溶け込んでいったという印象を持っている。しかし、今年の4月のニューオータニでのパーティで、今回の公演のお話を聞いたときから、香港公演にある期待をしていた。
ファンになって応援しつづけると経験することだと思うが、ある時期に必ず変化が訪れる。それは真梨子さんに何かを与えてもらうのだけのファンではなく、真梨子さんと一緒に楽曲をいつまでも大切にしていきたいと純粋に思うファンになりたいという心理的な変化である。
私は『ジュン』や『for you』やエンディングに使われる舞台照明が好きだ。真梨子さんのホームグラウンドである東京厚生年金会館のムービングライトも心に響く。人の哀しみや喜び、さりげないぬくもりを、そして明日を生きていこうとするひとりひとりを、あのライトが優しく包んでくれる。そこに真梨子さんとの新しい出逢いが演出され続けていくのである。
香港公演のコンサートは、私の期待通りだった。
真梨子さんの歌が街に溶け込むのではなく、香港のあの夜景が、きらめき輝きながら、真梨子さんの歌の中へと溶け込んでいったのである。
ツアーに参加できて幸せだった。みんな何らかの都合をつけて集まったはずだ。真梨子さんに逢えた喜び、逢いにいけた喜び、そういう暖かい思いが、ヴェランダの噴水のようにみんなのこころに満ち溢れていた。あの上質で品のよい、ランチ・パーティ。暖かい雰囲気は、アーティストとファンという関係ではなく、ヴェランダの住人である妖精が贈ってくれた、人と人との出逢いだったように思う。
真梨子さん、ヘンリーさん、そして園田正強さんはじめスタッフの皆様、とても素晴らしい出逢いを演出していただきありがとうございました。」
(1997/11/1)
CD VICL60113
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1997/9 VOL.3
THE MUSIX
ビクターエンタテインメント株式会社
phot by MDF