ときめいて空に
「ときめいて空に」の装飾音について、少々気になるという意見があった。
ミニコンポかポータブルCDを利用されている方には気になるケースもあると思う。
ある方が、「無機質な雨」の音と表現されていた。
今回のアルバムは、恋しいはずの恋人や愛している人があまりにも目の前にいなさ過ぎる。
for you や OVER のように真っ向から愛をぶつける歌が好きな私は、少々悲しい愛の形に弱い。それが、まるで真梨子さん自身の経験に重なっているかのように思えて、余計にいとおしい感情が出てくる。恋人のいない部屋に電話する。その恋人はすでに永遠の旅に出ていてもう会うことはできない。部屋に戻ったら、そこにいるはずの人がいない。手紙しかない。
こんな哀しい経験はいやだ。
窓辺でフルートを吹いている人がいる。あるときその音色が聞こえない。
まるで真梨子さんのお父さんの思い出のように。
また一人になってしまう、そんな怖れが感じられる。
そして・・・・・
あのフルートになりたかった。でも、今彼女のそばではフルートをずっと吹いてくれる人がいる。
そういうごく自然な日常の中に愛がある。
あの装飾音は、過去の思い出にタイムスリップするとき、画面が切り替わるときの映像の乱れの音であると私は思っている。
そして、
自分を捨てて、ほかの女性と結婚すると知った彼女が、その手紙や昔の写真を破く音だ。
そこまで、この曲は sensitive である。
だから、さびの部分ではなく、過去の思い出を語る部分で、不均衡に流れているのだ。
20年近くの時を経て、微笑みとともに語れる作曲者と作詞家の大人の関係が
そこにはある。
そのゆとりがアコースティックな弦の音色できれいに包まれている。
そういう大人の愛が描かれている。
真梨子さんの表現する、ある愛の形である。
.(2002/06/25/写真は ミキイメージソング NCS249 非売品 )
アルバム「time of love 」VICL60880
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