Triad このアルバムのコンセプトは・・・
1984年は、カメリアダイヤモンドのCFに、「愛と誠」の池上季実子さんが洋風の着物で登場。荒波の打ち寄せる砂浜で風に吹かれているシーンに「桃色吐息」が流れてきた。
それは戸惑いである。「マイクラシック」のHITで知られていた佐藤隆氏が、ギター一本で吟じていた曲が「桃色吐息」である。その中近東風の作風は、さらっと歌い上げるものであったが、真梨子さんは艶っぽくしかし妖艶にはならぬように歌い上げている。相当の試行錯誤があったと思う。
前述までのとおり、LPの1-3-5-7-9の奇数番目の曲もかなり多く、名曲もコンサートのラストナンバーもたくさんある中での「桃色吐息」である。
そのパイレーツ風のジャケット写真の真梨子さんがどことなくあどけない。
日本レコード大賞アルバム大賞を受賞された。
しかし、アルバムとしての収録曲は、DearやAFTER HOURSに較べると物足りない。
「祥寺クイーン」 「忘れない」 「新しい五線紙」など特徴的な曲が多い。しかし、コンセプトアルバムである。そのコンセプトはとたずねられれば、それは桃色吐息なのである。
言葉を替えて言えば、歌唱法の幅の広がり、よりWET感のある柔らかいそして強弱のメリハリのある歌唱で伝えてくれている。音楽用語のtriadそのものである。
だからこそ、「HEART」が輝きを増している。
人は何かを演じている。
相手に気に入ってもらえるような存在になろうとしている。
しかし、実はそれは本当の恋愛ではない。
「高橋真梨子」が歌う失恋は、実は最後に主人公を新しい光に導いて救っていく。その世界観が存分に表現されているアルバムであるといえる。
なお、1984/12/31の日本レコード大賞の放送でのみ、HEARTは歌われている。その後一度も、TV放送では歌っていない。
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