J. Palme
Stockholm University/KTH
May 1998
Network Working Group
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Category: Informational

Making Postscript and PDF International

(Postscript と PDF の国際化)

このメモの位置づけ

このメモはインターネット・コミュニティーのために情報を提供するものであり、いかなる種類のインターネット標準も定めない。 このメモの配布に制限はない。

著作権表示

Copyright (C) The Internet Society (1998). All Rights Reserved.

要旨

ある種のテキスト・フォーマット、たとえば Postscript (MIME タイプ application/postscript、ファイル拡張子 .ps) や Portable Document Format (MIME タイプ application/pdf、ファイル拡張子 .pdf) では、印刷される文書のページ・レイアウトを正確に指定する。 よく使われる用紙の形式は、北アメリカと世界の他の地域とでは異なる。 北アメリカでは「レター」(Letter) 形式が使われるのに対し、世界の他の地域では主に ISO 規格の「A4」形式が使われる。 このことは、ある大陸で書式整形された文書が別の大陸では容易には印刷できないかもしれないということを意味する。 このメモでは、レター形式でも A4 形式でも同じように印刷できる文書をいかにして作るかということについて助言を与える。 この文書の助言に従えば、北アメリカの内側でも外側でも問題なく印刷できる文書をインターネット上で提供することができる。

この文書の助言をごく手短に要約すると次のようになる。 すなわち、米国のレター形式の用紙を使っている場合は、左右両方のマージン (余白) を少なくとも 21 mm (0.8 インチ) にすること。 A4 形式の用紙を使っている場合は、上下両方のマージンを少なくとも 33 mm (1.3 インチ) にすること。

もくじ

1. はじめに
2. 異なる用紙形式に印刷する 3 つの方法
   2.1 方法 1 ― マージンをより大きく取る
   2.2 方法 2 ― 縮小印刷する
   2.3 方法 3 ― A4 サイズの用紙を買う
3. 謝辞
4. セキュリティーに関する考慮事項
5. 参照文献
6. 著者連絡先
7. 著作権宣言全文

1. はじめに

ある種のテキスト・フォーマット、たとえば Postscript (MIME タイプ application/postscript、ファイル拡張子 .ps) や Portable Document Format (MIME タイプ application/pdf、ファイル拡張子 .pdf) では、印刷される文書のページ・レイアウトを正確に指定する。 よく使われる用紙の形式は、北アメリカと世界の他の地域とでは異なる。 北アメリカでは「レター」形式が使われるのに対し、世界の他の地域では「A4」形式が使われる。

北アメリカのレター形式は 216 × 279 mm (8.5 × 11 in) であるが、ISO 規格の A4 形式は 210 × 297 mm (8.3 × 11.7 in) である。 つまり、レター形式は 6 mm (0.2 インチ) 横に広く、A4 形式は 18 mm (0.7 インチ) 縦に長い。

このことは、ある大陸で書式整形された文書が別の大陸では容易には印刷できないかもしれないということを意味する。 インターネット上の文書は、言うまでもなく、すべての大陸で印刷可能であることが望ましい。 本稿は、いかにしてそれを実現するかについて助言を与えるものである。

このメモでは HTML 文書は対象にしないが、HTML 文書の中で固定サイズの画像や固定幅のオブジェクトを使っている場合には、本稿の助言は HTML 開発者にとっても有益なものとなるかもしれない。

2. 異なる用紙形式に印刷する 3 つの方法

2.1   方法 1 — マージンをより大きく取る

文書を Postscript
または PDF へ変換
する際の用紙形式
用紙の向き 推奨される
マージン変更
最小マージンの推奨値
A4 ポートレート
(縦長)
上下各マージン
に 18 mm (0.7
インチ) 加える
20 mm
0.8″
20 mm
0.8″
33 mm
1.3″
33 mm
1.3″
A4 ランドスケー
プ (横長)
左右各マージン
に 18 mm (0.7
インチ) 加える
33 mm
1.3″
33 mm
1.3″
15 mm
0.6″
15 mm
0.6″
レター ポートレート
(縦長)
右マージンに
6 mm (0.2
インチ) 加える
20 mm
0.8″
26 mm
1.0″
15 mm
0.6″
15 mm
0.6″
レター ランドスケー
プ (横長)
上下各マージン
に 6 mm (0.2
インチ) 加える
15 mm
0.6″
15 mm
0.6″
21 mm
0.8″
21 mm
0.8″

上マージンと下マージンの両方にそれぞれ 18 mm ないし 6 mm を加えなければならない理由は、用紙の上下いずれか一方にマージンを加える必要があるのに、どんな種類のプリンターで印刷されるか分からず、しかもプリンターが異なれば給紙の仕方も異なるということにある。 どちらの用紙形式であっても、ISO 838 のパンチ穴によるファイリングに適応させるため、左右のマージンは少なくとも 20 mm の幅をもたせるべきである。

注意——ヘッダー、フッター、ページ番号は、上で提案した最小マージンの内側に置くようにすること。 ワード・プロセッサーでは、ヘッダー、フッター、ページ番号は指定のテキスト・マージンの外側に置かれることが多い。

2.2   方法 2 — 縮小印刷する

この方法は、文書の受領者が不適切なサイズの用紙を使う場合に有用である。 縮小サイズで印刷するようプリンターを受領者側が設定するのである。 提供者が PDF ファイルないし Postscript ファイルを作成する際には 100% のサイズで「印刷」すべきであるが、受領者がその PDF ファイルないし Postscript ファイルを印刷する際には、印刷用プログラムがそれを許すならば、受領者は 94% 以下のサイズで印刷すべきである。 多くの Postscript ファイル印刷プログラムでは、それができない。 その場合は、Postscript 文書を PDF 形式に変換した上でそれを PDF 印刷プログラムで印刷することができる。 ただし、それには Adobe Acrobat Distiller プログラムが必要となるが、これはフリーウェアではない。 フリーウェアである ghostscript は最新版であれば PDF 形式への変換ができる。 利用者はさらに用紙サイズとして、文書を PDF 形式ないし Postscript 形式へ変換した際に指定した用紙サイズではなく、プリンターに装填されている実際の用紙サイズを指定しなければならないかもしれない。

また、Postscript ファイルをプリンターへ送る前に、それを編集して scale コマンドを追加することもできる。

方法 2 は、これらの設定を自ら操作しなければならない受領者にとっては少々難しいかもしれない。 しかし、将来、印刷ソフトウェアの製造業者らがこのサービスを自動化することで、方法 2 がより簡単になる可能性もある。 おそらくそれは、印刷ウィンドウ上の「用紙サイズに合わせて縮小」チェックボックスやオプションの「『用紙サイズに合わせて縮小』をデフォルトにする」設定によって制御されるものとなろう。

この RFC の筆者は、一般に、書式整形文書の望ましい配布形式として Postscript よりも PDF のほうを推奨する。 その理由として、相異なる用紙サイズをエレガントに扱う「用紙サイズに合わせて縮小」オプションの機能を PDF 印刷プログラムが一般的に備えているということだけでなく、PDF にはページ単位でのデータ圧縮が組み込まれていること、PDF ファイルは全体をダウンロードせずとも表示ができること、PDF のほうがよりポータブルであること、プリンターにないフォントの描画に関して PDF のほうがよりよい方法を有すること、そして PDF には URL を埋め込むことができるということがある。

2.3   方法 3 — A4 サイズの用紙を買う

国際的な文書をたびたび印刷する必要のある北アメリカの人々は、A4 サイズの用紙を買うという選択をしてもよかろう。 米国でも大手の用紙販売会社の多くから入手することができるし、ほとんどすべてのレーザー・プリンターでサポートされている。

3. 謝辞

Markus Kuhn 氏は、この文書に関する多くの有用な提案をしてくれた。

Adobe、Acrobat、Distiller、Exchange および Postscript は、Adobe Systems Incorporated またはその関連会社の商標である。

4. セキュリティーに関する考慮事項

このメモの提言を厳守すれば、文書がすべての受領者に読めて、かつ見え方が同じになる可能性が高まり、したがって誤解の恐れが削減されることになる。 提言それ自体は既知のセキュリティー上のリスクを新たに導入するものではない。 もちろん、このメモの提言への信頼が、ある種の書き手に自分の文書の見え方が同じになるものと過信させてしまうというリスクはあるかもしれない。

Postscript にセキュリティー上のリスクがあることはよく知られている。 そのことは [MIME] において議論されている。

5. 参照文献

A4 Writing paper and certain classes of printed matter – Trimmed sizes – A and B series, International Standard ISO 216, International Organization for Standardization, Geneva, 1975.
ANSI Bond Papers and Index Bristols – Common Sheet Sizes, North American National Standard ANSI X3.151, North American National Standards Institute, 1987.
ISO 838 Paper – Holes for general filing purposes – Specifications, International Standard ISO 838, International Organization for Standardization, Geneva, 1974.
Kuhn Markus Kuhn: International Standard Paper Sizes.
<URL:http://www.ft.uni-erlangen.de/~mskuhn/iso-
paper.html
>.
PDF Tim Bienz, Richard Cohn, James R. Mechan: Portable Document Format Reference Manual, Version 1.2, Adobe Systems Incorporated, <URL:http://www.adobe.com/supportservice/devrelation
s/PDFS/TN/PDFSPEC.PDF
>.
MIME Freed, N., and N. Borenstein, "Multipurpose Internet Mail Extensions (MIME) Part Two: Media Types", RFC 2046, November 1996.

6. 著者連絡先

Jacob Palme
Stockholm University and KTH
Electrum 230
S-164 40 Kista, Sweden

Phone: +46-8-16 16 67
Fax: +46-8-783 08 29
EMail: jpalme@dsv.su.se

7. 著作権宣言全文

Copyright (C) The Internet Society (1998). All Rights Reserved.

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2008年01月28日公開
2008年04月06日更新
Translated by: Mendoxi (面独斎)
mendoxi@cam.hi-ho.ne.jp