長生きは丈夫な歯から歯ぐきから

千葉県歯科医師会
千葉県学校保健会
平成11年2月作成

8020運動を進めよう

8020運動とは、80歳になっても自分の歯を20本以上保つことを目標に、若いうちから歯や歯ぐきの健康づくりを進めようという運動です。

日本人の歯の実態

平均現在歯数と目標歯数
年代 平均歯数 目標歯数
30歳 27.5本 28本
40歳 26.0本 27本
50歳 22.9本 25本
60歳 17.1本 24本
70歳 10.6本 22本
80歳 4.5本 20本

歯の働き

歯には、食べ物をかみ砕く(咀嚼)・正しい発音を助ける・顔の形を整えるという 3つの大切な働きがあります。

食べ物を噛む(咀嚼)

近年、咀嚼(噛むこと)の重要性が見直されています。 「よく噛みなさい」と子供の頃からいわれていますが、 噛むことは人にとってどんなことなのでしょうか。

よく噛むと

  1. 食べ物が唾液とよく混ざり消化吸収が促進されます。
  2. 満腹感が得られ、食べ過ぎの防止になります。
  3. 唾液がたくさん出ます。
    唾液には食べかすを洗い流す作用もあります。
    また、体調を整え、若さを保つパロチンというホルモンが含まれています。
  4. 歯の汚れも少なくなり、歯肉も適度に刺激され、むし歯や歯肉炎も予防できます。
  5. 脳への血流量が増加し、脳が活性化されるといわれています。

食事の軟食化と咀嚼不足

外食のもたらす功罪

近年、ファーストフードなどを摂取する機会が増加し、食事内容の軟食化がすすむなかで、強く噛む力や回数を必要としない軟食化した食生活になっています。
咀嚼不足が原因と思われる歯ならび・不正咬合の増加が注目されています。噛む機能の不均衡が顎を変化させ、不正咬合の原因となることも考えられます。
口腔機能の正常な発達と顎の骨の十分な発育のためには、毎日の食生活を通して咀嚼習慣をしっかりと身につけましょう。

現代と過去の食事内容の比較

時代 咀嚼回数 食事時間 復元食のメニュー
卑弥呼
(弥生時代)
3,980回 51分 ハマグリの潮汁、鮎の塩焼き、長芋の煮物
カワハギの干物、ノビル、クルミ,クリ
もち玄米のおこわ
紫式部
(平安時代)
1,366回 31分 ブリとあわびの煮物、蕪汁、大根のもろみ漬
ご飯
源頼朝
(鎌倉時代)
2,654回 29分 鰯の丸干し,梅干し、里芋とワカメのみそ汁
玄米のおこわ
徳川家康
(江戸時代)
1,465回 22分 ハマグリの塩蒸し、里芋とゴボウなどの煮物
カブのみそ汁、納豆、麦飯
徳川家定
(江戸13代)
1,012回 15分 かまぼこ、白身魚の吸い物、カレイの煮物
カブとウリの漬物、とうふのみそ汁、ご飯
戦前
(昭和10年)
1,420回 22分 大豆のみそ炒め、たくわん、野菜のみそ汁
ニンジンと大根などの煮物、麦飯
現代 620回 11分 コーンスープ、ハンバーグ、スパゲッティ
ポテトサラダ、プリン、パン

歯周病

歯周病とは

歯周病は歯を支えている組織(歯ぐきと歯槽骨)の病気です。
歯周病の初期は歯肉炎といわれ、歯肉が赤く腫れてときどき出血する程度です。さらに進行して、歯を支えている骨まで侵された歯周病を歯周炎(シソーノーロー)といいます。

  健康な歯肉 歯肉炎
歯ぐきの色 うすいピンク色 赤、暗赤色、赤紫色
歯と歯の間にしっかり
入り込んでいる。
腫れて縁が丸みをおびている。
かたさ 引き締まって弾力があり
歯にぴったりついている。
引き締まった感じがなく、
ブヨブヨしている。
出血 軽く押さえたり、歯磨き
程度では出血しない。
軽く押さえたり、歯ブラシを
当てると、出血しやすい。
写真    

歯周病の発病の仕組み

  1. プラーク(歯垢)の中の細菌が産出する代謝産物や酵素が直接、歯周組織を障害する事に基づく
  2. プラーク(歯垢)の中の細菌が産出する代謝産物や酵素が「抗原」となり、「抗体反応」の結果、生体が防御しきれないとき、歯肉に炎症を誘発する。
  3. その他の炎症を助長する因子
    全身疾患(糖尿病等)、喫煙、唾液の状態、かみ合わせ、口呼吸、ストレス

プラーク(歯垢)とは

歯の表面を爪楊枝などでこすると白いネバネバしたものがついてきます。
これが歯垢です。
歯垢は歯の表面や歯周ポケットの中に見られる生きた細菌の固まりで、この細菌のためにむし歯や、歯肉炎が起こるのです。

歯周病の予防

検討中