介護保険と歯科

1999/08/02 更新


医療保険と介護保険の区分け

1)在宅における介護保険と医療保険の給付関係

基本的な考え方

(1) 介護保険の被保険者は、医療保険の被保険者でもある。
介護サービス以外の医療が必要になれば、当然、医療保険から給付が受けられる。
具体的には、「投薬」「検査」「処置」「訪問診療」「訪問歯科診療」などは、現行通り医療保険からの給付となる。

(2) 介護の必要性に対応する医療サービスは、介護保険で給付する。
具体的には、次の医療系サービスは、介護保険の給付となる。

*居宅療養管理指導
*訪問看護
*訪問リハビリテーション
*通所リハビリテーション(デイケア)
*短期入所療養介護(医療系のショートステイ)

居宅療養管理指導については、医師や歯科医師、薬剤師などにより行われる療養上の管理および指導と規定されているが、具体的な範囲については、今後検討される予定。

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(3) 法律上、介護保険の給付が受けられる同一サービスの場合には、医療保険からは給付しないとの調整規定が設けられており、介護保険の給付が優先する。訪問看護については、サービス内容を今後整理することが求められる。

2)介護保険給付対象の在宅サービス

…以下の12種類

*訪問介護(ホームヘルプサービス)
*訪問入浴介護
*訪問看護
*訪問リハビリテーション
*通所介護(デイサービス)
*通所リハビリテーション
*居宅療養管理指導
*短期入所生活介護(福祉系のショートステイ)
*短期入所生活介護(医療系のショートステイ)
*痴呆対応型共同生活介護(グループホーム)
*特定施設入所者生活介護(ケアハウスなど)
*福祉用具貸与
※訪問介護(ホームヘルプサービス)
高齢者や障害者の居宅に訪問し、食事介助や入浴介助、清拭などの身体介助や介護相談を行うこと。
※訪問入浴介護
高齢者や障害者の居宅に訪問し、入浴車などで浴槽を提供して入浴サービスを行うことをいう。
※訪問看護
訪問看護ステーションの看護婦や保健婦(ステーションによっては理学療法士、作業療法士)が高齢者、障害者の居宅に訪問し、リハビリ、病状観察などの療養上の世話や介護の相談指導などを行う。
通常の医療機関と同じく医療保険・老人保健制度により提供されるもので あるが、利用にはかかりつけの医師の指示書が必要。
※訪問リハビリテーション
 
※通所介護(デイサービス)
介護を要する高齢者や障害者をバスなどで送迎し、施設において生活指導や食事、入浴サービスなどを提供すること。デイサービスセンター、老人福祉センター、高齢者生活福祉センターなどで行われる。デイサービスセンターのタイプによっては、入浴サービスや給食サービスなどの訪問事業を行うところもある。
※通所リハビリテーション(デイケア)
介護を要する高齢者などに対し、施設においてリハビリ、食事、入浴サービスなどを提供すること。
老人保健施設において行われるものであるが、このほか病院・診療所における老人デイケアや精神障害者のための精神科デイケアがある。
※居宅療養管理指導
 
※短期入所生活介護(福祉系のショートステイ)
介護を要する高齢者や障害者を数日間(場合によってそれ以上)施設に入所させてサービスを提供すること。
※短期入所療養介護(医療系のショートステイ)
 
※痴呆対応型共同生活介護(グループホーム)
 
※特定施設入所者生活介護(ケアハウスなど)
 
※福祉用具貸与
 

注 在宅介護支援センター

在宅の介護を必要とする老人について、様々な介護の相談に応じ、各種の保健・福祉サービスが総合的に受けられるように関係機関の連絡調整などを行うところ。
市町村の直営かまたは委託により特別養護老人ホーム、老人保健施設、病院などに併設して設けられている。

その他の福祉サービス(横出しサービス)

家事援助
高齢者や障害者の居宅に訪問し、掃除、洗濯、調理、買い物等の家事の援助を行うことをいう。
福祉用具レンタル
特殊ベッド、車いす等の福祉用具を貸与すること。なお、市町村によっては、日常生活用具給付等事業として福祉用具を給付 (所得により費用負担あり)または貸与している。
給食・配食
高齢者や障害者の居宅に訪問し、用意した食事を提供することをいう。
外出介助
介護を要する高齢者や障害者の外出を介助すること。手話通訳、要約筆記等のヘルパーも含む。

施設サービス

1)介護保険給付対象の施設サービス…以下の3施設

※特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)

常時介護を必要とする65歳以上の寝たきりや痴呆症のお年寄りなどで、在宅で適切な介護を受けられない人を対象にした施設。
デイサービス、ショートステイも受け入れる。

※老人保健施設(介護老人保健施設)

疾病、負傷等により、寝たきりの状態にいる老人又はこれに準ずる状態であるが病状の安定期にあり、入院治療の必要はないが、家庭に帰るには無理なお年寄りを一定期間預かり、家庭復帰のための機能回復訓練などを行う。

※介護療養型医療施設

・療養型病床群(老人病院)
65歳以上の慢性疾患患者が6割を越える病院をいう。
短期間の治療より、長期にわたる介護、看護に重点を置く施設
・介護力強化型老人病院
手厚い介護に重点を置く病院
・老人性痴呆疾患療養病棟
 

2)施設における介護保険と医療保険の給付関係

基本的な考え方

(1) 施設サービスについては、介護サービスのほか、おのおのの施設の有する機能に応じて、主として日常的な医療サービスが提供されることになる。

(2) 老人保健施設や療養型病床群等に入所・入院している要介護者に、手術などの急性期治療が必要になった場合、原則として、適切な治療が可能な急性期病棟等に移って、医療保険から給付を受けることとなる。

(3) 療養型病床群は、病床を介護保険適用部分と医療保険適用部分に区分 (原則は病棟単位、例外的には病室単位)できる。したがって、具体的なタ イプとしては以下の3つが考えられる。

*介護保険適用施設(すべて介護保険の適用)
*介護保険適用病棟型
*介護保険特例適用病室

介護保険適用の療養型病床群に入院している患者については、原則として医療保険からの給付は行わない。ただし、入院者が急性増悪などを起こしたものの、転棟(転床)が困難な場合、一定期間介護保険適用の療養型病床群にて、必要十分なサービスを受けることができる運用を行う。

3)介護保険施設における介護報酬の考え方(案)

介護保険施設における介護報酬の考え方については、以下の2案が考えられて いる。今後の検討課題であるが。案2の方向で整理しつつある。

案1…人員の配置基準に関係なく、要介護度状態区分ごとに報酬を設定する。
案2…上記に加えて人員配置基準も考慮した形で、介護報酬を設定する。

その他の老人保健施設等の説明

養護老人ホーム
寝たきりではないが常時介護が必要、心身、環境、経済的理由で居宅での生活が困難な65歳以上の人ための施設
ケアハウス
自炊が出来ない程度の身体機能の低下等が認められ、または高齢などにより独立して生活するには不安が認められる60歳以上の人のための施設
老人デイサービスセンター
在宅の虚弱な65才以上の人に対し、通所の方法で入浴や食事の提供、機能訓練などの便宜を提供する
デイサービス施設
在宅の虚弱な65歳以上の人に対し、通所の方法で入浴や食事の提供、機能訓練などの便宜を提供する施設
ショートステイ施設(老人短期入所施設)
介護者の疾病その他の理由で居宅での介護を受けることが一時的に困難な65歳以上の人を受け入れ養護する施設
老人憩の家
地域の60才以上の人に教養の向上、レクリエーション等のための場を提供する
老人休養ホーム
景勝地、温泉地などにおいて立地された施設で、老人やその介護者に保健休養、安らぎの場を提供する
軽費老人ホーム
低所得者で、家庭の事情などで居宅での生活が困難な60歳以上の人のための施設
有料老人ホーム
入居者に食事など日常生活に必要なサービスを提供する
老人福祉センター
老人に関する各種の相談に応じ、老人に対し、健康の増進、教養の向上、レクリエーションのための便宜を提供する
高齢者生活福祉センター
過疎地域等に居住する高齢者に対し地域の中で生活が続けられるように福祉サービスを提供する

平成11年度版主治医意見書(案)変更点

名称かかりつけ医から主治医に変わった

意見書の作成回数記入欄が出来た
他科受診の有無診療科目増えた歯科有り

1 傷病に関する意見
(3)介護に必要の程度に関する予後の見通し
改善、不安定、悪化の欄が加えられた

3 心身の状態に関する意見
大幅に内容変更がなされた
(1)日常生活の自立度等について
・障害老人の日常生活自立度
・痴呆性老人の日常生活自立度
(2)理解及び記憶 (3)問題行動の有無
基本調査の項目に近づける
(5)身体の状況
利き腕
筋力の低下等記入方法が変わった

4 介護に関する意見
(1)誤嚥性肺炎→嚥下性肺炎と変更
(2)医学的管理の必要性(特に必要性の高いものには下線を引いて下さい)訪問歯科診療に」訪問歯科衛生指導が加わった
(3)介護サービスにおける医学的観点からの留意事項
・嚥下について・摂食について
特になし,あり

5 その他特記すべき事項
要介護認定に必要な医学的なご意見を記載して下さい
なお、専門医等に別途意見を求めた場合はその内容、結果も記載して下さい

居宅介護サービス事業者の種類

1 指定居宅介護支援事業者
ケアプラン作成機関となることが出来る
常勤介護支援専門員を雇用する事による

2 指定居宅サービス事業者サービス提供機関
病院、診療所等の保険医両機関については、法人格の有無にかかわらず、医療系居宅サービス(訪問看護、通所リハビリなど)の事業者として、都道府県知事の指定があったものとみなされる。

居宅療養管理指導
訪問歯科衛生指導自医院の歯科衛生士又は非常勤の歯科衛生士

理学療法士によるリハビリ

訪問看護事業者の指定基準

診療所の場合
訪問看護に従事する保健婦、看護婦又は准看護婦が配置されていること