河合メンタルクリニック 河合メンタルクリニック


5月

 

 今月の歌は、「茶摘」。歌に合わせてリズムを取り、お互いの手を合わせるスキンシップで全体が盛り上がる。この時間に毎週集まる仲間同士って感じで、スタッフまでその仲間意識の強さがひしひしと伝わってくる。一つの話題が呼び水になって関連する多くの話題が活発に出てくる。セッションの後にお年寄が、「入院して季節がわからなくなったけど、この時間に出ているうちに季節の流れを感じられるようになった」とわざわざ話しかけてきた。

 

ここにも多くの母がいる

 今日は《母の日》なので、今週の空オケは《岸壁の母》とする。紅白のカーネーションを持ってきて感じを出す。ここにも多くの母親がいる。どれだけの人たちが赤いカーネーションで祝福されているのだろうか。

 ○○さんの息子は十八歳の時に志願して戦死したとのこと。四十数年たった今も思い出しては涙が出るという。

 ○○さんは難聴のため、セッションの最中ほとんど黙っている。しかしリズムは感じているらしく手拍子をしている。自分の歌う曲はいつも同じ曲である。

 セッションがすでに始まっているなかで、看護学生が脈を測っている光景がセッションに見事に溶け込んでいる‥‥病棟という場でセッションを行っている事実の重みをセッションのスタッフも病棟サイドの看護学生も治療構造上の事実として共有しているため、そのような光景がすんなり受け入れられるのだろう。

 全体が半円形となり、司会者に集中している感がある。

 リズム体操の時、音楽をバックに体を動かしていると、司会者の言葉に誘導されてお年寄も自然に想像が湧いてくる。「小鳥になって木の枝にとまって」と言うと、「目がまわってしまう」と言う。「下を見るからだよ」と言うと、笑って上を向いている。

 動物に変身するだけでなく、時に木に変身したり、皆でハイキングに行ったことを連想したりする。

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