おばあちゃん -美人薄命-


「おばあちゃん」は父方・母方の2人というのが通常編成ですが、父方の祖母は私が生まれる前に亡くなっていました。ですから、私にとって「おばあちゃん」とは母の母のことになります。
母方の祖母は99年8月14日現在、93歳、おかげさまで健在です。今回は、この祖母についてです。

1.美人薄命
祖母の父は祖母が幼い時に亡くなり、祖母の母も祖母が16歳の時に亡くなったそうです。そんなこともあって、祖母は「自分は早死に」と昔から信じています。(←過去形じゃない)
そんな祖母が私によく言っていた言葉は「おばあちゃんは美人薄命だから・・・」という、いきなり自己矛盾を抱えたフレーズです。 .
お婆ちゃん←→薄命
え?これはどういうこと?
しかし、長生きはするもんですね。祖母が今、「おばあちゃんの若い時は美人だったから・・・」って言っても、誰も彼女の若い頃を知らないので反論されません。まさに「死人に口なし」。人間、生きなくちゃ。

2.突然、無口。
祖母には私の母を含めて6人の子供がいます。孫の数は12人。ひ孫はたぶん現在8人かな。
私は上から7人目の孫になります。私が生まれるまでは、私の兄を含めて、孫は男の子ばかりでした。祖母は母と買物に行った時、子供服売り場で「ああ、女の孫がいたら、こんな服を買ってあげたい。あんなものも買ってあげたい。」と言ってたそうです。しかし、私が生まれた日から、そんな言葉は2度と言わなくなりました。これは、「君子、豹変す」ってやつでしょうか。

3.若いの基準は?
母方の祖父は83歳で亡くなりました。それから何年かたって、祖母の家に遊びに行っている時のことです。
新聞を読んでると高松宮殿下が亡くなったという記事が出ていました。祖母は老眼なので、ちゃんと新聞を読んでいないだろうと思い、祖母に「おばあちゃん、高松宮殿下がお亡くなりになったんですって。」と言ったところ、祖母は「あら!まだお若いのに・・・」とびっくりしていました。え・・・・高松宮殿下は82歳でお亡くなりになったの・・・・・いくら皇族とはいえ、日本の男子の平均寿命よりかなり長生きなの・・・・・

4.年齢詐称
健在とはいえ、祖母も93歳。そろそろ、ちょっとボケてきました。今は、母の姉の嫁ぎ先が開業医なこともあり、主にそこで暮らしています。私の家からもそれほど遠くないので、たまには顔をだします。
祖母が「いくつになったの?」と聞くので、「XX歳」とかなりサバ読んで答えました。隣で母が「ボケてるからってウソ言うな!」というような顔をして、私の脇腹に蟷螂拳を入れました。しかし、祖母の93年の人生からみたら、そんなごまかしはとても些細なことなようで、納得していました。
これは、自己弁護でもなんでもないんです。だって、祖母に「おばあちゃんは年齢より若く見えるもん。どうみたって70代にしか見えないよ。」と言ったところ「やだねぇ、この子は。」なんて言いながら照れていました。まさに、満更でもないって感じでした。その隣で母が私に再度蟷螂拳を入れたことは、言うに及びません。

5.紅白出場
今年の正月に親族で集まった時の話です。
祖母が「年末は何をしていたの?」と聞いたので、お約束どおり「紅白に出てたの。(ビシッ!:母からつっこまれる)」と答えておきました。するとそんな母のつっこみにも気がつかず「え?そうなの?」と思いっきり話しに乗ってきました。私もさすがにあんまりだましてもいけないなぁと思い、「歌ってたんじゃないよ。郷ひろみの後ろで踊ってたの。」と言ったところ、祖母はとても残念そうな顔をして「言ってくれないと・・・おばあちゃん知らなかったから、見逃しちゃったわ。」と言ってくれました。その場には30人ぐらいの人がいたと思いますが、この話を信じたのは93歳の祖母/23歳の大学生のいとこ/7歳になるいとこの娘の3人だけでした。23歳の大学生がその後みんなに突っ込まれまくったことは言うに及びません。

6.クイズ「私は誰でしょう?」
先日、祖父の17回忌がありました。久しぶりに従兄弟12人が全員集合しました。
上から下まで20歳以上のひらきがあるのですが、みんなでバカ話などをして盛り上がりました。でも、やはり話題の中心はこの一家のスペキャラ「おばあちゃん」です。
祖母は6人もいる子供たちのそれぞれの配偶者さえも忘れがちなので、さすがに12人もいる孫に関しては「誰の子供か」「名前は何か」というところまでは、忘れてしまっている場合が多いです。その点、紅白出場など、いつも刺激的な話題を提供する私のことは上記の2点を憶えていました。でも全く忘れ照られている子もいます。そこで、みんなでかわるがわる祖母のところに挨拶に行くという形式をとり、クイズ「私は誰でしょう?」を実施しました。
結果は、多少ヒントを出したりしましたが、12人中7人の名前を言うことができました。うん、勝率5割以上。まだイケてます!


と、うちの祖母は本当にスペキャラだと思います。ボケも計算づくじゃないだけに、かなりおもしろいことを言ってくれます。しかも本人はまだ「イケてる!」と思っているようです。以前、冗談で「おじいちゃんが亡くなってかなりたってるんだから再婚しちゃえば?」といったところマジで照れていました。
私は、おばあちゃんが大好きです。だって、私の宝物の「きゅぴこ」を買ってくれたのは、祖母だからです。
当時、うちの兄は祖父に買ってもらった小さな犬のぬいぐるみを毛が抜けるまで可愛がっていました。それを見た祖母は、対抗心から孫に人形を買いまくったようです。わたしのキューピーも、その運動の一環だったみたいですが、それでも私の宝物にはちがいありません。この前、祖母に「あの時買ってもらったキューピー、今でも大切にしてるのよ。」と言ったところ、お約束通り、忘れていました(笑)