ベース(コントラバス)の奏法と技術と ジャズを演奏するために必要な知識や方法論について、 確実にバランスよく学べる実践的なベース・レッスンです。
どんな人が対象?
日頃から、「リズムが悪い」「音の立ち上がりが遅い」「ピッチが悪い」と 感じていたり、あるいはバンド・メンバーに 指摘されたりしませんか。
ベースラインやソロがうまくできない、 あるいはさらに向上させたいと考えていませんか。
あるいは、楽器の持つ深くて豊かな音色を、 アンプに頼ることなくじゅうぶんに引き出してみたいと感じませんか。
限られた時間で着実に練習の成果を出し続けるためには、 効果的な練習メニューを集中して取り組む必要があります。
もしこれをお読みの皆さんが、ご自身のベースの奏法を改善させ、 また、ベースラインやソロを内容を向上させるために 日頃からしっかりと練習に取り組み、 着実に成果の積み上げができているのであれば、 レッスンを受ける必要はないでしょう。
しかし、リズムやピッチや音色などの演奏技術を改善するための効果的なトレーニングや、 ベースラインやソロの内容を深める具体的な取り組みが十分にできていないと 感じているのであれば、ぜひレッスンの受講して日頃の練習やトレーニングの メニューの改善をすることをおすすめします。 そのためには信頼できるベーシストによるレッスンの受講がとても効果的です。
初心者はもちろん、経験者にとっても大切なことは、到達度や目標に応じた 適切な練習に効率よく取り組むことです。 上手な人とは、「練習の仕方が上手な人」でもあります。 レッスンを受けることで、自分の課題に対して客観的に向き合い、 その課題に対して継続的に取り組むことができます。 その結果、効率的に上達が見込めるのです。
何を学ぶ?
吉岡直樹のベース・レッスンでは、 この楽器を演奏するための身体的技術、 即興演奏であるジャズを演奏するために最適化した運指法、 そして、ジャズの実践的な知識や方法論をバランスよく学びます。
身体的技術
どんなに素晴らしい音楽的なアイディアも、楽器の演奏技術がじゅうぶんで なければ、聞き手や共演者に伝わりません。
さらに、楽器の持つポテンシャルをじゅうぶんに引き出し、 豊かでクリアな音色で演奏し表現力を高めることが、 パフォーマンスにとってとても大切なことです。
そして、生涯に渡って音楽を楽しむためにも怪我の防止もとても大切です。
このように、コントラバスの演奏技術には、 正確に演奏すること、豊かな音色と表現力、そして怪我の防止という 3つの目的があります。
- 正確に演奏すること
- 正確なテンポやリズム
- 正確なイントネーション(ピッチ)
- スケールやインターバルに対して精度の高い耳を持つこと
- 豊かな音色と表現力
- どの弦やポジションであっても豊かでクリアな音色を保って演奏できること
- レガートに演奏できること
- 適切なアーティキュレーション
- 怪我の防止
- 特定の部位に負担をかけない適切な姿勢と動き
- 結果が同じであれば、できるだけ小さな動きや力で効率よく弾くこと
これらの演奏技術は、適切なトレーニングさえ地道にすれば 誰でも短期間に改善することが可能です。 ところが、 奏法についての正しい情報を取捨選択することが難しいこと、 たとえ適切な情報にたどり着いたとしても自分の理解の範囲で解釈しがちなので トレーニングが徹底しない傾向にあることなどの理由から、 私自身がそうであったようにこれらに独力で取り組むのは それほど容易なことではありません。
合理的で一貫性のある創造的な運指
コントラバスは、指板を持つ弦楽器のなかでも特に巨大です。 弦楽器のなかでもっとも弦長は長く、弦高は高く、隣り合う弦の間隔も広いのです。 したがって、バイオリンやギターなど、ほかの弦楽器と同じフレーズを ユニゾンで演奏するとき、右手も左手も、 ベーシストがもっとも大きな動きをしなくてはなりません。 これは、とても大きなハンディキャップといえるでしょう。
また、指板が人間の手に対して大きすぎるので、 ほかの弦楽器と比べても左手がカバーする音域が狭いのも特徴です。 よって、ほかの弦楽器と比べて運指が難しく、ポジション移動を何度も行う必要があります。
ベーシストであれば、 運指がうまくいかないことが原因で思いついたフレーズが演奏できなかった、 あるいは初見で楽譜は読めたのに運指がついていかずに弾けなかったといった 経験は誰もが持っているはずです。これを私は「運指の手詰まり」と呼んでいます。
「運指の手詰まり」は、楽器が大きいこと、指板が左手に対して大きすぎることが 原因です。
このように運指の問題で表現が大きく制約される状況を少しでも打破するために、 特にコントラバスでジャズのような即興音楽を演奏するためには、 運指の問題にしっかりと取り組むことが必要です。
私は、コントラバスの運指には、合理性、一貫性、創造性の3つの要素が 必要だと考えます。
- 合理的な運指
- ポジション移動の回数をできるだけ減らす。
- ポジション移動の距離をできるだけ小さくする。
- 同じ指でポジション移動と移弦を同時に行うような、演奏ミスが生じやすい運指をできるだけ避ける。
- 一貫性のある運指
- 演奏中の運指の迷いを減らすために一貫性が重要。
- 同じ動きや似たような動きは原則として同じ運指で演奏する。
- キーやスケールを意識した運指の組み立て。
- 創造的な運指
- あらゆる跳躍を可能にする機動性。
- 指板の「地理」に精通すること。
- 様々なエチュードを通じて「直観力」を磨くこと。
このような運指を身につけるためには、さまざまな基礎練習に加えて、 ビッグバンドのパート譜のようないわゆる「書き譜」、メロディ、 コピーしたソロやベースラインなど、決まったフレーズを演奏するときに、 運指を決めて繰り返し練習することが必要です。
母語を話すときに文法を意識しなくても文法通り話せるように、 無意識でも合理的で一貫性のある運指が自然にできることが、 「運指の手詰まり」を防ぎ、即興演奏の表現の幅を広げることにつながると考えます。
実践的な知識と方法論
ジャズは即興音楽です。例えるならば、外国語の会話を学ぶようなものです。
もし、外国で演劇をする場合、自分と相手のセリフを覚えれば最低限の 形にすることは可能でしょう。
ところが、外国語でお笑いをする場合は、ユーモアのセンスや時事や文化についての理解、 語彙や文法知識に加えて、相手の言葉を理解する聴解力、的確に反応する文章力や構想力と いったことも要求されます。
ジャズでは、ベースの演奏技術や音楽的な発想力に加えて、 コードやスケールのような知識、楽曲研究、アンサンブルについての理解、 メンバーの音を正確に聴いて判断できる力も必要です。
ベースは、よく野球の捕手にもたとえられます。 ベースラインの役割は、リズムとハーモニーの輪郭を示すことに加え、 メロディやソロのラインとは対位法的な関係にあります。 また、ベースラインでダイナミクスやアンサンブルの方向性を示すこともできます。 すべての野手と向かい合っている捕手のように、 メロディ、リズム、ハーモニー、ダイナミクス、音色など、音楽のほとんど要素と 密接に関わっているアンサンブルの要がベースといってもよいでしょう。
これらの知識はただ覚えるだけではなく、アンサンブルのなかで実際に生かさないと 意味はありません。つまり、狭い意味での知識ではなく、 実際に表現するための方法論として使えることが重要です。 すなわち、ジャズの演奏に必要な知識は頭で理解するだけではなく、 実際に楽器で表現できる状態にまで高めておくことが必要なのです。
理論やアンサンブルについての理解を深めるためには、 事例研究を深く広く行うことも大切です。具体的には、 録音された音源から、コード進行、あるいはベースラインやソロを 採譜(いわゆる「耳コピー」)することです。 これは特に最初はうまくいきませんし時間もかかります。 到達度や理解度に応じて、適切に課題設定するなど工夫することで、 なるべく小さなステップで確実に積み上げができるようにサポートします。
なぜレッスンを受けるべき?
私自身、楽器を始めてから数年間はよくいえば独学、悪くいえば我流で ベースに取り組んでいました。
レッスンを受けるきっかけは、あるジャズクラブのマスターの強いすすめだったのですが、 初回のレッスンのとき、「こんなことなら早くレッスンを受けるべきだった」という後悔が 強い衝撃とともに襲ってきたことを今でも鮮明に覚えています。
「ここまでやらなくてはいけないのか」という衝撃
私は、当時三重県在住だった中村新太郎さんのレッスンを受けました。
それまで、独学で取り組み、シマンドルの教則本にも自分なりに取り組んで、 運指や左手の形にも注意して演奏していたつもりでいました。
ところが、実際にレッスンを受けてみると、 コントラバスを演奏するための全身の姿勢、 左手や右手の使い方の根本から修正する必要がありました。
フォームの重要性
具体的には、左手で弦を指板に対して垂直方向に押さえ、 右手で弦を指板と平行の向きにはじくという知識を初めて知りました。 そして、基本的な動作を身につけるためには根気よく繰り返し練習して 「身体で覚える」ことの必要性を知りました。
私もそうだったのですが、よく何か演奏上のフォームについて指摘すると、 「気をつけています」という答えが返ってきます。 しかし、気をつけないとできないということは、トレーニング不足なのです。 集中力が切れてくるとフォームが崩れてしまううちはまだまだ不十分で、 練習とは「正しい癖」をつけることなのです。 すなわち、「疲れてくるとついつい正しいフォーム演奏してしまう」という状態になって、 初めて身体で覚えたといえることを知りました。
左手でどのように弦を押さえ、右手でどのようにはじくか、という 基本的な動きは、とても理にかなった動きで、2つの効果があります。 ひとつは、楽器本来の持つポテンシャルをじゅうぶんに引き出すこと、 そして、もうひとつは、怪我の予防です。
弦、それにピックアップやマイクの選択、あるいはアンプの選択や設定など、 ステージにおいてベースの音色やプリゼンス(存在感)を決定する要素はいくつもあります。 しかし、どんなによいセッティングをしても、奏者が楽器本来の ポテンシャルを引き出せていなければあまり意味がありません。
楽器の音色の良し悪しは、100%が奏者の技量です。 なぜなら、それは楽器本来のポテンシャルを引き出すのはベーシストだからです。
曖昧模糊とした音色も、弦の押さえ方と弾き方で見違えるように変わります。 また、正確なピッチとリズムで演奏することも、アンサンブルにおける ベースのプリゼンスに大きく寄与します。
楽器のポテンシャルをじゅうぶんに引き出すために必要な条件として、 右手や左手の力や重さを効率よく楽器に伝えることが重要です。 実はこのことが怪我の予防にも繋がります。
身体の力を効率よく楽器に伝えられないと、本来楽器に伝えるべき余分な力が 身体のどこかの部位にかかり続けることがあります。例えば、左手の親指の付け根や 小指や薬指の関節、左手首や右手の手首、あるいは、右手の人差し指の関節、 肩や腰です。
正しい演奏フォームの習得は、怪我の予防にも大きな効果があります。 高齢になっても現役で活動しているベーシストがいますが、 生涯にわたってこの楽器を楽しむためには、 まだ若いうちからただしい演奏フォームを習得しておくことが大切です。
知られざる演奏技術がある
シマンドルの教則本に自分なりに取り組むなど、 自分では基礎練習を積み上げているつもりでしたが、 レッスンを受けることで基本的な動きをいくつも見落としていました。
たとえば「準備」(アンティシペーティング)の動きです。
これは、弦楽器であるコントラバスの基本的な左手の運指テクニックで、 特に初学者のうちは耳にタコができるくらい指摘されるほど重要な技術です。 平たくいえば、あらかじめ先回りできる指は先回りしておきましょう、ということなのですが、 この初歩的な技術さえ私は見落としていたのです。
シマンドルの教則本の注釈を注意深く読むと確かに「準備」の必要性を説明しているのですが、 そもそも教則本とは自学自習ではなく、教師に付いて学ぶことを前提としているのですね。
このテクニックは、レガートに演奏するためには必要不可欠なうえ、 ミスを減らす効果もあります。 しかし、右半身と左半身が強調しつつも異なる音に対して同時にアプローチすることも あることから、頭が混乱します(右手で違う弦を弾いてしまうことも)。 このような混乱に対する対処を、私は「右半身と左半身の分離」と呼んでいるのですが、 「準備」に限らず、弦楽器を演奏するためには、この「右半身と左半身の分離」が できているかがひとつの鍵になっているように感じます。
このように、ベーシストにとってきわめて重要な技術であるにもかかわらず、 独習者にはほとんど認知されていない技術がいくつかあるものです。
私は、運良く優れた先生のレッスンを受ける機会に恵まれました。 このような技術をしっかり学ばなければ、今の自分はなかったと思います。 そのような思いもあって、このような技術や考え方を一人でも多くのベーシストにお伝えしたいと考えます。
すぐにレッスンを受けよう
- 「もう少し上手くなってから」
- 「独学でやって行き詰まってからでもよい」
- 「レッスンを受けなくても、実際上達している」
このように考えて、レッスンを先延ばししていませんか。
私も、この楽器を手にしてからしばらくは独習でなんとかやってきたので、 このように考える気持ちもよくわかっています。
ところが、レッスンを受けるのは早いほうがよいのです。
早ければ早いほどよい理由―何年生が一番早く上達する?
ある大学のジャズ研のベースの学生をまとめてレッスンしてほしいとの 依頼を受けたことがあります。 たまたま、全員が大学入学と同時にベースをはじめたので、 経験年数はそれぞれ0年、1年、2年ほどでした。
私のフィジカルなトレーニングにはカリキュラムがあるので、 それに関しては3人が一斉スタートです。 さて、3人のうち、どういう順番で上達が早かったと思いますか?
答えは、1年生、2年生、3年生の順です。 つまり、経験年数が短いほど上達が早かったのです。
理由は明確です。新入生は、新しい技術をそのまま身につければよいのに対して、 上級生はそれまでに身につけた悪い癖を正しい奏法に改めなくてはならないからです。
楽器の演奏に限らず、長年の悪い癖や習慣を改めるのは非常に難しいものでしょう。 2年生は約1年分の、3年生はその倍の癖がついていて、その弾き方にすっかり慣れてしまっています。 そのやり方を変えるには、時間と根気が必要です。
私自身もしばらく独習してからレッスンを受けて基礎を鍛え直されていますから、 この苦しみは嫌なほどよくわかります。
演奏法を改善するということは、今までのやり方をやめて、新たに別のやり方を 習得することです。これは、見かけ上、一時的に「下手になる」ことです。 今までできたことが、本当にできなくなる期間がありますが、これは精神的にも きついことでした。 そして、せっかく直したはずなのに、気づかないうちに以前の悪い癖で 弾いている自分に気づくことがあります。これも本当につらいことでした。
ところが、初心者の場合、多少の試行錯誤は必要だとはいえ、 新しいことを覚えればよいだけなので、これまでの習慣や悪癖を 改める手間やストレスと無縁です。
私がそうであったように、独習期間が長ければ長いほど 習得のコストはどんどんかさんでいきます。 だからといって、このまま取り組みを先送りしても 努力の割に技術が積み上がらないばかりか、その先が袋小路ということも 十分ありえるのです。
私が一日も早くレッスンを受けることをおすすめする理由が少しでも伝わればよいのですが。
数年前と比べて上達を実感できているか
もし、ビッグ・バンドに所属しているベーシストであれば、 バンドのレパートリー、 特に自身が担当する曲を弾けるようになるまでさまざまな練習が必要です。 曲を練習することで、様々な技術や表現を身につけることができることから技術は向上します。
コンボを中心に活動していても状況は同じでしょう。 始めの頃は、どんどん曲を覚えていきます。 曲によっては、So What のようにベースがメロディを弾いたり、 あるいは Night In Tunisia のようにお決まりのベースラインを覚える必要があったりして、 それらに取り組むなかで様々なリズムやより広い音域で演奏する必要があることから 技術が向上します。
しかし、それはせいぜい楽器を始めてから数年から長くても十年程度の間ではないでしょうか。 演奏経験、あるいはレパートリーが一定程度に達すると、 ほとんどの方が「伸び悩み」の時期に差し掛かります。 理由は、曲の練習という短期的な練習に終始してきて、 日々の練習に中長期的な視点に立った練習計画が明確でないことが原因でしょう。
経験者の皆さん、ここ数年のご自身の上達を実感できているでしょうか。 もし、たとえ他人にはわからない程度のゆっくりであっても、 最近の自身の取り組みと成果について説明できるのであれば、 それはとても素晴らしいことです。 その調子で取り組みを継続すると目標に手が届くでしょう。 しかし、もし「ちょっと伸び悩んでいるかな」 「練習方法がマンネリ化しているかな」と思っている方。 それは本当に歳のせいですか。 あるいは、仕事や家庭が忙しくてじゅうぶんな練習ができないせいでしょうか。
もし多忙で練習ができていないのであれば、 時間と集中力を最大限効率化した中長期的な練習計画が必要なのではありませんか。 ご自身でそれが立案できるならともかく、 そうでないのであれば専門家の助けを借りることで、 より効果的な取り組みをされてみてはいかがでしょうか。
上達しない初心者はいない
「独学でやって行き詰まってからでもよい」 「レッスンを受けなくても、実際上達している」という気持ちも分かります。 私自身、初めてレッスンを受けるまでそのように思っていたのですから。
でも、よく考えてみれば、上達しない初心者はいないのです。 つまり、誰しも最初は技術がほぼゼロなのですから、 初心者のうちは上達するより仕方ないのです。
初心者の頃は、音楽がやりたくて、ベースが弾きたくてたまらないものです。 部活動で頑張っている学生や生徒ならば、 早く先輩と一緒にアンサンブルできるよう一所懸命に練習します。
したがってどんなに効率の悪い練習をしようと、 あるいは多少不適切な方法で演奏しようと、 最初の数年間は加速度的に上達するものです。 上達しないほうがどうかしています。
だから、上級生のなかには後輩が上達するのを見て、 自分の指導力があると勘違いして、 なかには「プロなんかに習わなくてもよい」という人もいます。 中学や高校の一部の指導者にも そのような考え方の先生がわずかながらいることはとても残念なことです。
上達しない初心者はほぼ例外なくいません。 新入生が上達するのは、本人に意欲があるからです。 そして、これが大切なことなのですが、より適切な指導をすれば その人の可能性はさらに広がります。 おそらくそれは先輩や指導者が考えているよりも何倍もの広がりをみせることでしょう。
もし、若いベーシストのいるバンド指導者、あるいはその保護者の方が この文章をお読みでしたら、どうか、信頼できるベーシストの指導を受けさせるよう ご検討ください。私でなくても構いませんから。
怪我の予防
ベースの演奏に起因する身体の痛みをかかえたまま演奏している方はいませんか。
例えば、左手首、左手の小指や薬指、あるいは親指、右手の人差し指や手の甲、腰、肩などに 痛みを抱えたまま無理に演奏を続けるのはたいへん危険です。
コントラバスは、弦楽器の中でも特に巨大な楽器です。 人間に対して楽器が大きすぎるのです。 無理な姿勢で演奏を続けていると負担のかかる部位が炎症などを起こして 痛みを感じるようになります。
痛みには原因があり、解決法がある
ベースを演奏することによる痛みは、「宿命」でもなければ「勲章」でもありません。 特定の部位に負担がかかるような無理な姿勢で演奏を続けてきたことが原因です。 フォームを改善してこの原因を解消すれば、症状は軽減されます。
コントラバスの演奏メソッドの目的には、楽器のポテンシャルを最大限にひきだすこと、 音楽的に広く深い表現をすることに加えて、怪我の予防が含まれていると私は考えています。
痛みには必ず原因があり、そして手遅れでない限りそれを防ぐ方法もあると信じます。
例えば、左手首の痛みは、左手首を曲げていることが原因です。したがって、左腕全体の 位置を見直して手首をできるだけ真っ直ぐにして演奏するように改善することで痛みを緩和できるでしょう。
左手小指や薬指の関節は、これらの指をしっかり曲げることなく、伸ばしたまま弦を押さえていることが原因です。 したがって、左手指のアーチをしっかりつくって弦を押さえるべく指の付け根と指板の端との距離を縮める ことが必要です。このようにするためには、大抵の場合左腕全体のフォームの見直しが必要です。
左手親指の関節の痛みは、弦を押さえるときに親指の関節を反らせてことが原因です。 多くの場合、親指がネックに対して直行するのではなく上方向を向いているか、あるいは、親指を指板に立てるような 姿勢になっているのではないかと推測します。 したがって、親指をネックと直行させ、さらに第一関節を わずかに曲げるようにして弦を押さえるようにすることで痛みを緩和することができます。
弦を指弾する人差し指の関節の痛みは、たいていの場合、 弦をはじくときに指を真っ直ぐに伸ばしたまま演奏してることが原因です。 痛みが右手の甲の部分に及ぶこともあります。 このような場合、指の関節をわずかに曲げて演奏することで痛みを緩和することができます。 加えて中指を人差し指に添えてもよいでしょう。
このように痛みの原因を理解しフォームを改善することで症状は緩和され、 また解消することもすくなくありません。 手遅れにならないためにも、 もし痛みを感じていてそれを自力で解消することができないのであれば、 必要に応じて早めに医師の診断を受けることが必要です。
フォームを改善せず、同じ方法で演奏を続ける限り、 その部位への負担をかけ続けることになります。 再発を防止するためには、 楽器の奏法についての専門的知識を持つベーシストの適切な指導を受けて、 その部位への負担がかからないよう演奏フォームを改良する必要があることは明白でしょう。
学生、生徒は要注意
歳を重ねると、様々な身体の不調が起こるとされています。 身体は固くなりますし、四十肩や五十肩、腰痛、筋肉や関節の痛みなどの訴えもよく耳にします。
しかし、私は、10代から20代の若者こそ、 怪我の予防のために正しい演奏フォームを身につけることが重要だと思います。 なぜなら、一般にこの世代は、絶対的な練習時間が多く、 また体力や集中力があるので無理がきいてしまうからです。
ベースを演奏することによって起こる身体の痛みは、 その部位に対して負担がかかる姿勢で演奏を続けていることが原因です。 社会人のアマチュアのように日々の練習時間が短ければ生じないような身体の痛みであっても、 プロ並み、あるいはときにはそれ以上に集中して練習することのある学生の場合、 無理な練習がたたって身体を痛めてしまうという事例をいくつも知っています。 なかには高校時代の無理な練習が原因で、 生涯にわたって薬を手放せないほど症状を悪化させた人もいるほどです。
したがって、 正しい演奏方法はできるだけ若いうちに身につけておくことが望ましいと思います。 音楽は、生涯に渡って楽しむことのできる素晴らしい活動です。 そして、できるだけ若いうちに正しい演奏フォームを身につけることは、 生涯にわたって演奏を楽しむため礎になります。 どうか、若者の指導者や保護者の方はこのことをきちんと理解して、 ぜひ正しい指導を受ける機会を設けていただきたいと願ってやみません。
吉岡直樹のベース・レッスンの特徴―対面(またはオンライン)指導と添削指導の相乗効果
吉岡直樹のベース・レッスンは、1回90分で、月に1〜2度の受講をおすすめしています。
しかし、仮に月に2度レッスンを受けたとしても、 1年365日に対してわずか36時間の指導時間に過ぎません。 レッスンごとに課題を出すとしても、この時間は短すぎます。
私は、皆さん一人ひとりにできるだけ多くのことを身につけてほしいと心から願っています。 そのために、対面(またはオンライン)レッスンに加えて、 メールによる添削指導を実施しています。
添削指導では、文章や画像で課題を提出したり、質問をしたり、 あるいは、採譜(耳コピー)や運指のチェックをしたりすることができます。 そうすることで、対面(またはオンライン)レッスンではできるだけ実技の指導に集中し、 それ以外の内容はメッセージや画像でのやり取りで済ませることで、 効率よく学習することができます。
添削指導はいつでも思い立ったときに受けることができます。 日々の練習や活動で生じた疑問や悩みを 次回のレッスンまで待つことなく解消することができるので、 上達の速度が落ちたり、学習意欲がそがれたりすることなく取り組むことができます。
対面またはオンライン(ビデオ通話)によるレッスン
楽器を使った対話的指導です。
1レッスン90分で、原則として月に1度の受講をおすすめしていますが、 意欲的な方はそれ以上受けていただくこともできます。
前半を基礎的な内容、後半を実践的な内容にあてます。 それぞれ内容は次のとおりです。
- 基礎的な内容(レッスン前半)
- 演奏フォーム
- 右手と左手の基礎および強化
- スケール・スタディ
- 基礎的な運指法
- リズムトレーニング
- 実践的な内容(レッスン前半)
- ベースラインの基礎、応用
- ソロ、メロディの演奏
- 発展的な運指法
「基礎的な内容」にはカリキュラムがあります。 いっぽう、実践的な内容については、到達度や目標にあわせて設定します。
メールによる課題提出と添削指導
対面レッスンで設定した課題(宿題)の提出、疑問や質問については、 メールで課題提出していただき、できるだけすみやかに添削してお返しします。 また、所属するバンドでのレパートリーの追加にも迅速に対応します。
メールによる添削指導の内容は多岐にわたりますが、 代表的なものとして次のようなものをあげることができます。
- 運指の添削
- 自作のベースラインやソロの添削
- 採譜したものの添削(ベースライン、ソロ、メロディ、コード、アレンジなど)
- 疑問や質問とその答え
合理的で一貫性のある運指を学ぶためには、運指の添削がとても効果的です。
また、ご自身で採譜(いわゆる耳コピー)をしても一部誤っていることがあります。 採譜したものをチェックすることは、イヤー・トレーニングには不可欠な過程です。
レッスン受講までの流れ
レッスン受講に不安のある方もいらっしゃると思います。
実際の受講までの流れは次のとおりです。
1. なにはともあれ、お気軽にお問い合わせを!
少しでも 吉岡直樹のベース・レッスン を受けてみようかなという気持ちになった方は、 お気軽にメール(n-yoshioka@cam.hi-ho.ne.jp)でお問い合わせください。
どんな疑問や質問にも丁寧にお答えします。
その際、以下の点についてお知らせいただけるとスムーズです(必須ではありません)。
- 現在の音楽活動(所属バンド、演奏機会等)
- 楽器経験、あるいはジャズやベース(コントラバス)以外の音楽経験
- 困っていること、またはレッスンで身につけたいこと
- 目標や希望
- 希望のレッスン形式(対面/オンライン)
- 対面レッスンをご希望の場合、お住まいの地域(市町村または最寄り駅等)
2. 受講前の無料相談または模擬レッスン(必要な方)
もし必要であれば、受講前に無料相談をおすすめします。
電話やオンラインの音声通話等を利用した質問や相談、 あるいはオンラインのビデオ通話を利用した模擬レッスンのいずれかを30〜60分程度受けていただくことができます(原則1回まで)。
特にオンラインで受講を検討している方は、通信状況の確認も兼ねて、一度、ビデオ通話による無料相談または模擬レッスンをご検討ください。
私のレッスンの特徴や意義、レッスンの内容や方法など、どんな疑問にもお答えします。ほかのベーシストのレッスンやスクールとの比較検討も大いに歓迎いたします。
また、ビッグバンドや小編成のベース・パート(複数人数)、リズム・セクション、全体の指導など、中高生から社会人までさまざまな指導経験と実績があります。 ベースの個人レッスンの枠にとらわれず、お気軽にご相談ください。
3. 正式に受講開始
メールでのお問い合わせへの回答、あるいは無料相談や模擬レッスンを試してみた結果、レッスン受講をご希望の方は、あらためてレッスンをお申し込みください。 初回レッスンの日時と場所(方法)を決めて、受講開始となります。
連絡先
よくある質問と答え
まだ迷っていますか?
よくある質問と答え(FAQ)もチェックしてみましょう。
講師紹介
吉岡直樹
ジャズ・ベーシスト。
1976年、北海道函館市生まれ。
中高時代に、吹奏楽部でトロンボーンを担当し、同時にジャズを聞き始める。
1995年、名古屋大学入学と同時に軽音楽部にてベースを始める。在学中よりジャズアンサンブルを森田利久氏に師事。卒業後、ベースを中村新太郎氏に師事しながら、東海北陸地方のワークショップ等で内外のミュージシャンから多くを学ぶ。
2002年よりボウイングを榊原利修氏に師事。2004年初めての自己のグループとして2管編成のクインテットを主宰。以後、ベースの演奏に加えて、表現手段のひとつとして作編曲も学ぶ。2016年には初めて舞台音楽に作曲、演奏で関わる。
ベースだけでなく、ジャズ・アンサンブルやジャズ理論の指導や研究にも熱心で、個人レッスンをはじめ、音楽教室で初級者からプロまでがともに学ぶジャズ寺子屋「実践!ジャズコード」を開講。ジャズ・ベースの教則本やコード/スケール理論についての書籍を自主出版しているほか、研究成果を意欲的に発信している。
現在、愛知県名古屋市在住。東海地方のジャズ・クラブを中心に活動中。趣味はなかなか行けない旅行とコンテンポラリー・アート鑑賞、それに気まぐれな読書。