レッスンは早く受けろ

こんにちは。

久しぶりの更新です。面白いことはたくさんあるのですが、公にしてよいことといけないことがあるので。

さて、今日はレッスンを受けるなら早いほうがよい、という話をしたいと思います。

なんて書くと、「宣伝だな」なんて思うかも知れません。 眉に唾をつけながら読むという批判精神は、音楽を追究する演奏者にとっても鑑賞する側にとっても 大切なことだと思いますから、どうぞそのままにお読みいただいて、読後に判断なさってください。

コロナ禍でうやむやになったきりですが、ある大学の軽音楽部のベースパートを何年間かレッスンしていたことがあります。 もちろん、受ける受けないはそれぞれの任意。

最初の年は、1年生と2年生と3年生が一人ずついました。私のレッスンは基礎的な部分と実践的な部分を同時に行います。 特に基礎的なところは独学で学ぶには難しすぎるし、どこまで徹底すべきなのか(答えはとことん徹底すべき)、また、 本当にこれでよいのか(たいてい間違っている)、自分で判断できないため、レッスンの最初の半年〜1年で大きく成長する ところです。

それで、くだんの1年生と2年生と3年生、同じ基礎のカリキュラムで、上達が一番早かったのは誰だと思いますか。

答えは1年生。そして、一番遅かったのは3年生でした。 ベースのレッスンを受けたほうがよいと考えて、OBの先輩に相談して私に連絡をしてきたのも3年生。 意欲もあって、ベースはもちろんリズム・セクションを率いるような立場なのに、一番進度が遅く、かなり悄気げていました。 もちろん、精神的なケアをして、最後まで頑張っていましたが。

初心者ほど飲み込みが早いという傾向は感じていたのですが、同じ時期に同時に複数の人にレッスンを始めるという経験はこのときくらいでしたから、 とても印象に残っています。もちろん、意欲や忙しさなどさまざまなファクターがあるので一概にはいえませんが、 大雑把にこのような傾向はあるものと思います。これは、楽器に限ったことではなく、スポーツなどあらゆる分野にいえるのでは ないかと考えています。

なぜ、基礎的な(つまりフィジカルな)技術の習得において、初心者ほど進度が早くて、経験者ほど遅いのか。

それは、上達するということには、確かに精度をあげるという側面もあるかもしれないが、多くは、やり方や考え方を変えることだから だと考えています。 控えめにいって我流でやってきたベースプレイヤーの過半は、楽器の構え方や右腕や左腕のフォームに問題があります。 例えるなら、「ドラマーのスティックの握り方が変」というような状況です。どんな握り方をしてもドラムの音は出るでしょう。 しかし、スティック・コントロールということを考えると、明らかに問題がある握り方ではまずいのでは、と想像しますが、 ベースにも同じことがいえます。右腕にも左腕にも。

それでも、2年生は1年と少し、3年生は2年と少し、自分なりに努力して積み上げた成果があります。しかし、そこにはいろいろと 改善すべきことがあり、経験がながければ長いほど根の深い問題になっています。つまり「悪い癖」がついているのです。

そのひとつひとつを指摘して、悪い癖に陥らないようにシンプルなエチュードを鏡に向かってゆっくりと取り組むにはどうしても 時間がかかります。一方で、合奏では難しい曲、速い曲、あるいはソロなども弾いているのです。その練習とのギャップも大きい。

一方、始めたての1年生は、自分で積み上げた成果はそれほどありませんから、ファースト・コンタクトが合理的な奏法であり、 それを素直に身につければよいのです。今までの癖を修正するよりも労力も時間も半分程度で済むのではないでしょうか。

私も数年我流でやってきたので、レッスンを受けて来なかった人の気持ちも分かるつもりです。 ある日、「騙されたと思ってレッスンを受けたほうがよい」と勧めてくれたお店のマスターがいて、 あまり気が進まないながらもレッスンを受けることにしました。そのときに感じたのは、「こんなことなら、もっと早く 受けておけばよかった!」という後悔です。マスターも、その道では下積みをして腕を身につけたそうですから、 我流で限界があることが分かっていたのでしょうね。

また、2012年の6月とはっきり覚えていますが、当時私は右手の技術に限界を感じていて (つまりこれ以上努力しても今のやり方では袋小路と判断された)、何度も修正を試みるも日頃の演奏活動で元にもどってしまう という堂々巡りに陥っていました。 新しい技術を身につけるというのは、今までのやり方を放棄しなくてはいけないので、一時的に「下手になる」必要があるのですが、 なかなかそれができない。

したがって、2週間強制的に楽器を弾かない時期を作りました。それだけの期間楽器を触らないでいると、 今までのやり方でも相当下手くそになりますから、それで自分が正しいとおもう右手(右腕かな?)の奏法をこつこつと 身につけました。

今だからいいますが、そのとき仕事をけっこう失いました。たぶん「あいつは下手になった」というような評判もあったのかもしれません。 でも、私が尊敬できるプレイヤーほど、私の意図を察したのか(質問してきた人もいましたが)根気よく声をかけてくれました。 やはり、実力のあるプレイヤーはそれだけ苦労も多いのかも知れないです。

おかげさまで私は右手の袋小路からも抜け出すことができました。仕事は、相変わらず十分とはいえませんが、 演奏中の音楽的な見通しはずいぶんと向上しました。あきらかに10年前の音の聞こえ方とは異なります。

そういうわけで、我流で頑張ってきた人、努力は尊敬すべきところがありますが、一度継続的なレッスンを受けてみても 損はないのではないかと思います。

特に、ベースは怪我の予防に繋がります。高校大学と我流で頑張りすぎて身体を痛めてしまった人、知っています。 少なくとも高校に関しては、指導者の責任だと私は考えます。せめてフィジカル、メンタル両面に関しての最低限の知識は 持っていただきたいです。

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吉岡直樹
ジャズ・コントラバス奏者

名古屋市在住のジャズ・ベース奏者。

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