A Felicidade

A Felicidade #

基本データ #

  • 作曲年:1958年
  • 作曲:Antônio Carlos Jobim (1927-1994)
  • 作詞:Vinícius de Moraes (1913-1980)

参考音源 #

João Gilberto (1959)
作曲された翌年の録音。キーはD/Bm。
Sylvia Telles/Amor de gente moça (1959)
シルビア・テレスのアントニオ・ジョビン集。キーはC/Am。
Cal Tjader/Solar Heat (1968)
本人ではラテン系ではないが、ラテン・ジャズの第一人者の一人ともいえる。サウンドをきいて分かるように、ブラジルのイディオムで演奏しているわけではない。キーはCm/E♭。
Joe Henderson/Double Rainbow (1994)
リリースは翌年。テナー・サックス奏者ジョー・ヘンダーソンのジョビン集。この曲を含む5曲はブラジルのリズム・セクションで演奏している。最初の8小節を2回繰り返して1コーラス56小節として演奏。キーはAm。

曲目解説 #

映画『黒いオルフェ』のために書かれた曲。さまざまなアーティストが演奏しており、ジャズ・ミュージシャンによるカヴァーも多い。

形式 #

48小節で演奏されることが多いと思われるが、最初の8小節を2回繰り返して56小節を1コーラスとして演奏するケースもある(例えば、Henderson 1994)。

メロディとコード #

さまざまなキーで演奏されるが、以下キーAマイナー(C)として説明する。また、ここでは1コーラスを48小節とする。

1-4小節目 #

メロディだけ単音で弾くと、メジャー・キーにも平行調のマイナー・キーにもどちらにも聞こえる。したがって、ここをどのように演奏するかは判断が非常に分かれる。

録音をきいた限り、

  • 4小節ともCmaj7(C6)
  • 4小節ともAm7
  • 2小節目のAm7に続いて2小節のCmaj7
  • 上記のバリエーションで、Am7 | Dm7 G7 | Cmaj7 | Cmaj7 |
  • Am7 | Dm7 | Am7 | Dm7 |
  • Am7 | Dm7 G7 | Am7 | Am7 |

のように、非常に多くのバリエーションが存在する。このほかのコードが付けられた演奏もあると考えられる。

5-8小節目 #

一時的にAマイナー・キーの属調であるEマイナー・キーに転調していると考えてよいだろう。 Em7(トニック・マイナー) | B7(ドミナント) | Em7(トニックマイナー=転調元Cメジャーのトニック・メジャー代理。以下サン・ロク・ニ・ゴ) A7 | Dm7 G7 ||

9-24小節目 #

9小節目からはAマイナーとその平行調のCメジャー・キーの文脈で考える。9小節目からはCメジャーのトニック、13小節目前後は敢えていうならAマイナーのトニックと考えてもよいだろう。

17小節目はCメジャーのサブドミナント・メジャー、14小節目以降はAマイナー・キーの文脈で読む。

25-32小節目 #

25-28小節目のコードもよく聞くとさまざまなバリエーションがある。

  • Cmaj7のみ4小節
  • Cmaj7 | F7 | Cmaj7 | Cmaj7 |
  • Cmaj7 | Cmaj7 | F7 | F7 |
  • Cmaj7 | B7 | Em7 | Em7 |
  • Gm7 | Gm7 | C7 | C7 |

29-32小節目はおおむね Gm7 | C7 | Fmaj7 | Fmaj7 | かこれとよく似た進行となっている。

33-40小節目 #

33-36小節目はおおむね、Dm7 | G7 | Cmaj7 | と Dm7 | G7 | Am7 | に分かれる。前者は、Cメジャー・キーの「トゥ・ファイブ・ワン」である。一方、後者は、Aマイナー・キーのサブドミナント・マイナー(Dm7)、その代理コード(G7)、トニック・マイナー(Am7)と考えることができる。

41-48小節目 #

39-40小節目のコード進行(多くの場合 Em7 A7 | Dm7 G7 |)を受けて41小節目をCmaj7としている演奏もあるが、Am7としている録音も少なくない。33小節目から始まるメロディをメジャー・キーの文脈で捉えるか、マイナーとみなすかで意見が分かれるのである。

43-44小節目は、Dm7 | E7 | や | Bm7(♭5) | E7 | としている録音がほとんどだが、Henderson(1994)は| F♯m7(♭5) | Fm6 | である。

45小節目以降はAマイナー・キーの文脈で考えるのがよいだろう。