All Of You #
基本データ #
- 作曲年:1954年
- 作曲・作詞:Cole Porter (1891-1964)
参考音源 #
- Miles Davis / ’Round About Midnight (1955)
- 作曲された翌年の録音。キーはE♭。
- Sarah Vaughan / After Hours at the London House (1958)
- シカゴでの実況盤でミディアム・テンポで歌う。キーはC。
- Bill Evans / Sunday At The Village Vanguard (1961)
- スコット・ラファロとポール・モチアンとのトリオの実況盤。キーはC。
- Miles Davis / My Funny Valentine (1964)
- マイルス・デイヴィスは、スタンダード・ナンバーの何曲かをずいぶん長い間レパートリーとして演奏し続けたが、テンポやコード進行などは発展的に変化している。キーはE♭。
曲目解説 #
1954年のミュージカル Silk Stockings で演奏された。
メロディとコード #
ここでは、キーをE♭として説明する。
1-4小節目 #
メロディ・ラインにC♭の音を含む。したがって、3小節目はFm7(♭5)またはA♭mにする必要がある。
結果的に3-4小節目は、Fm7(♭5) | B♭7 | とするか、それともこの2小節をA♭mとするかどちらかであろう(後者の場合でも4小節目をB♭7としてもよい)。
また、1小節目にはC♭の音が出てくるわけではないが、全体の調和を考えると、Fm7(♭5)-B♭7 またはA♭mとすることが多い。2小節目はトニックE♭maj7である。
さらに、トニックまたはドミナントのベースのペダル・ポイントとすることもできる。
5-8小節目 #
5-8小節目も1-4小節目と同様であるのだが、7-8小節目をGm7 | C7 | や Gm7(♭5) | C7 | (あるいは2小説ともC7)としている録音も少なくない。これはストレート・メロディと衝突することに注意が必要。したがって、ストレート・メロディを演奏しない前提であればこのような変更が許されると考えることもできる(逆の見方をするなら、このようなコードがついているときはストレート・メロディを演奏してはいけない)。
10小節目 #
F♯dim7 または、C7としている録音が多い。ただし両者は代理関係にないので両立しない。
もし前者であれば、ソロ中にF♯m7(-B7)に置き換えられることはある。これは、F♯dim7と厳密に見ると衝突を起こすのであるが、ビバップ以降のジャズの習慣である。
13-14小節目 #
ルートが下行するコード進行には、E♭maj7 D♭7 | C7 | とするものと、 E♭maj7 D7 | D♭7 C7 | とするものがある。好みの問題で、マイルス・デイビスの場合、初期の録音(たとえば1955年)だと前者だが、後年には後者になっている(たとえば1964年)。
15-16小節目 #
ここは、Fm7としても、また19-20小節目のメロディ・ラインを予期させるFm7(♭5)としても、どちらでもよい。16小節目はB♭7。
ただし、Davis(1964)は、Bmaj7 | Emaj7 | としている。