Almost Like Being In Love

Almost Like Being In Love #

基本データ #

  • 作曲年:1947年
  • 作曲:Frederick Loewe (1901-1988)
  • 作詞:Alan Jay Lerner (1918-1986)

参考音源 #

Charlie Parke (1952)
Verve盤のマスターテイク集などに収められているビッグ・バンドによる演奏。キーはF。
Sonny Rollins With The Modern Jazz Quartet (1953)
テーマはロリンズが演奏している。アレンジはエンディングのみか。キーはE♭。
Art Blakey / Second Edition (1957)
この頃のジャズメッセンジャーズはスタンダード・ナンバーもレパートリーにしていた。キーはB♭。

曲目解説 #

1947年のミュージカル『ブリガドーン』の曲で、1954年の映画版ではジーン・ケリーが歌った。

メロディとコード #

インストゥルメンタルでもさまざまなキーで演奏されるが、ここでは以下キーをB♭として解説する。

1-2小節目 #

さまざまなコードの演奏する中で、主要な選択肢として次の3つが考えられる(3小節目も書いておく)。

  • Cm7 | F7 | B♭maj7(またはDm7)
  • E♭maj7 | F7 | B♭maj7(またはDm7)
  • Em7(♭5) | E♭m | Dm7

この選択肢によって、ターンアラウンドも変化する。最初の選択肢に対してはDm7 G7、後2者ついてはFm7 B♭7といったところか。

3-4小節目 #

1小節ごとにコードをあてる場合、B♭ma7(またはDm7) | D♭dim | とすることが多い。

4小節目はG7としてもよく、実際そのような録音もあるが、その場合注意しなくてはいけないのが、メロディがG-Aと動いているためにG7に短9度(♭9)のテンションを与えないことである。個人的な意見であるが、このメロディラインに対してはG7よりもD♭dimのほうがフィットするように感じる。ちなみに、Parker(1952)の4小節目はGm7である。

細かく動かすならば、B♭maj7 E♭7 | Dm7 D♭dim |のように演奏することもできる。リー・コニッツとジェリー・マリガンが共演しているレコード(1953年)やチェット・ベイカー(1959年)はこのチェンジを採用している。

21-22小節目 #

ここは、さまざまなバリエーションがある。

Parker(1952)はE♭maj7 | A7alt | (D7) としているし、レスター・ヤングがオスカー・ピーターソンと共演しているアルバム(1952年)ではGm | Em7(♭5) | (Am7)としている。また、ナット・キング・コール(1953年)はE♭maj7 | Cm7 | (Am7)と三度下行進行している。さらにフランク・シナトラの1961年の録音ではE♭ma7 | Cm7(♭5) | (Am7) である。Blakey(1957)はGm7 | C7 | (Am7)としているが、これはレスター・ヤングの進行に似ているが印象は少し違う。

やや屁理屈になるが、基本的に21小節目はサブドミナント・メジャーE♭maj7であり、Gm7やCm7はそれぞれ3度上、3度下の代理コードであると考えることもできそうだ。

23-24小節目 #

大雑把に言ってしまえば、ここのコードはD7である。したがって、Am7-D7 や Am7(♭5)-D7 とすることもできる。

ところが、D7から、25小節目のコード(E♭maj7やCm7その他)への進行がオーセンティック・ケーデンス(広義の完全終止)にならないことを嫌って、B♭7やFm7-B♭7を挿入する傾向がある(25小節目がE♭maj7の場合)。

たとえばParker(1952)はD7 A♭7 | G7 | (Cm7)としている。また、レスター・ヤングはD7 | B♭7 | (E♭maj7) としており、フランク・シナトラのAm7(♭5) D7 | B♭7 | (E♭maj7) も同じ発想である。

32-34小節目 #

Parker(1952) とフランク・シナトラの1961年の録音の33-34小節目は、B♭maj7/F Gm7 | C:m7 F7 | (B♭maj7) のようになっている。したがって、32小節目は、Gm7となるが、シナトラの場合Gm7 G♭7と一工夫している。また、Parkerの録音の場合、Em7(♭5)と少し意外なことをしているのが興味深い。

ただ、こんにち33-34小節目はCm7 | F7 | (B♭maj7) と演奏することも多いだろう。この場合34小節目はGm7でもよいがD♭dimが好まれる傾向がある(たとえば、すでに挙げたコニッツ-マリガン、ブレイキー、ベイカーの録音ではこのようにしている)。

G7altも可能性がないわけではなく、実際に当日のワークショップやジャム・セッションでそのようなコードを耳にした。しかし、私の個人的な意見であるが、ディミニッシュが苦手なのでドミナントでごまかしましたという感じがして、創造性を感じさせるモノではないし、じっさいぎこちなく響くのであまり感心しない。

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