Alone Together #
基本データ #
- 作曲年:1932年
- 作曲:Arthur Schwartz (1900-1984)
- 作詞:Howard Dietz (1896-1983)
参考音源 #
- Miles Davis / Blue Moods (1955)
- チャールズ・ミンガスとマックス・ローチが設立したデビュー・レーベルへの録音。ミンガス自身による編曲でいかにもこの時期らしい。キーはDm。
- Art Blakey and Jazz Messengers / At The Cafe Bohemia Vol. 1 (1955)
- テナー・サクソフォンのハンク・モブレーをフィーチャーしている。キーはDm。
- Jim Hall-Ron Carter / Alone Together (1972)
- 実況盤で、ロン・カーターがテーマを演奏している。キーはDm。
曲目解説 #
ミュージカル Flying Colors の一曲。
メロディとコード #
ここでは以下キーをDmとして解説する。
変則的なAABA形式で、14-14-8-8の44小節である。
9-10小節目 #
ジャム・セッションでよく使われる曲集には、Bm7(♭5) E7 | Gm7 C7 | などと記されていることがあるが(例えばHall-Carter 1972)、10テイクほど採譜してみたところでは、A♭dim7 | Gm7 C7 | と演奏されている録音のほうが多い印象である(Blakey 1955のほか、1958年のソニー・ロリンズ、1959年のチェット・ベイカー、同年のケニー・ドーハム、1963年のポール・デスモンドなど。1950年のディジー・ガレスピーはA♭dim7 | Gm7 B♭m | )。
和声的に分析すると、9-12小節目をメジャー・キーのコンテクストで考えると、A♭dim7はトニック・ディミニッシュFdim7の転回形であるから同様にトニック・ディミニッシュと考えることができるが、Bm7(♭5) E7はその典型的な代理コードと考えることができる。これは、Bm7(♭5)-E7がなぜAをルートとするコードに進行しないのかという疑問への答えになるだろう。Stella By Starlightの冒頭も同様である。
さて、Bm7(♭5) E7 | B♭m7 E♭7 | (Fmaj7) という録音も若干あった。個人的にはあまりすっきりしない進行だと思う。じゅうぶん事例研究する必要があるが、その理由は、トニック・ディミニッシュ代理-サブドミナント・マイナーという進行に問題があるのではないだろうか。また、Bm7(♭5) E7をサブドミナント・マイナー代理のE♭7へのセカンダリ・ドミナントと考えることにも無理があるように思う。
ただ、Miles(1955)は、Bm7(♭5) E7 | B♭m7 E♭7 | Em7(♭5) A7 | Dm7 A7 | のように演奏しているようだ(若干のバリエーションがあるようだが)。これは決して典型的な進行ではないがこのリハーモナイズには違和感なく感じる。
どう感じるかというのはあくまでも個人差があり、またハーモニーに関する感性や理解度にも左右されると思われるが、大事なことは、演奏中に相手が和声的にどのようにしようとしているかを尊重し、それに対して同意するにせよしないにせよ、適切に対処することであると考える。
33小節目 #
ブリッジの5小節目である。
ここは、Gm7としてもよいが、私の聴いた範囲では、自覚的にGm7(♭5)と演奏しているケースが圧倒的に多かった。
42小節目 #
サビの後の6小節目である。
ここは、43小節目のトニック・マイナーDmへのいわゆる「トゥ・ファイブ」であるEm7(♭5)-A7としてしまいがちである。ところが、メロディがF-Eのため、Em7(♭5)ではメロディがアヴォイドになってしまうのでE7もしくはB♭7としなくてはならない。
あらためて聞き直したが多くの演奏でそのように演奏していた。つまり、よく耳を使ってメロディに配慮して演奏しているのである。
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