Autumn Leaves (Les Feuilles Mortes)

Autumn Leaves (Les Feuilles Mortes)

基本データ

  • 作曲年:1945年
  • 作曲:Joseph Kosma (1905-1969)
  • 作詞:Jacques Prévert (1900-1977)
  • 訳詞(英語):Johnny Mercer (1909-1976)

参考音源

Cannonball Adderley / Somethin’ Else (1958)
マイルス・デイヴィスと2管による名盤で、印象的なイントロ・エンディングはセッションの定番のひとつとなっている。キーはGm。
Bill Evans / Portrait In Jazz (1959)
ビル・エヴァンスの代表作のひとつ。ベース、スコット・ラファロ、ドラムス、ポール・モチアンとのトリオ。キーはGm。
Miles Davis / In Person Friday and Saturday Nights at the Blackhawk, Complete (1961)
サンフランシスコでの実況盤。オリジナルアルバムではなく未発表テイクを含む完全版にこの曲が収録されている。メンバーはハンク・モブレー、ウィントン・ケリー、ポール・チェンバース、ジミー・コブ。キーはGm。
Wynton Kelly / Wynton Kelly! (1961)
ポール・チェンバース、ジミー・コブによるトリオ。キーはB♭m。
Sarah Vaughan / Crazy And Mixed Up (1982)
アップテンポで演奏され、サラ・ヴォーンのスキャット、ジョー・パスのギターが堪能できる。17小節目からのキック、ヴァンプなどのアレンジも大変効果的。キーはB♭m。

曲目解説

ジャム・セッションでも演奏されることが多く、ワークショップでも取り上げて欲しいとのリクエストが多かった。

1946年のフランス映画『夜の門』で、歌手のイヴ・モンタンが歌ったのが初録音。映画の脚本を担当し、詩人でもあるジャック・プレヴェールが歌詞をつけた。

アメリカでポピュラー・ソングにすべく、1949年にジョニー・マーサーが英詞をつけ、Autumn Leavesという英題となった。このとき、ヴァースが省略され、2拍子が4拍子に改められた。ジョー・スタフォードが歌い、マーサーが共同設立者であるキャピトル・レコードから売りだした。

1955年にはロジャー・ウィリアムスというポピュラー・ピアニストとストリリングスによる録音がヒットチャート1位になり、いっそうこの曲が注目を浴びるようになった。

曲の分析

以下、キーをGmとして記述する。

メロディとコード

この曲が比較的有名なのは、シンプルで親しみやすいメロディによるところが大きい。

また、コード進行に注目すると、平行調の関係にあるB♭とGmへのいわゆる「トゥ・ファイブ・ワン」の進行が骨格になっており、初心者向けの教材としても使われることが多い。

つまり、1コーラス32小節をを4小節ごと8つのセクションに分けて考えると、1・3・6つめのセクションの1-3小節目がCm7 F7 B♭maj7、2・4・5・7・8つめのセクションの1-3小節目がAm7(♭5) D7 Gmとなっている。

4小節目・12小節目と24小節目

いずれも、直前の3小節Cm7 F7 B♭maj7を受け、次のAm7(♭5) D7 Gmへの橋渡しとなっているという点では共通している。

4小節目・12小節目はE♭maj7となって、ダイアトニック上の4度上行(5度下行)進行進行(これは完全4度上行=完全5度下行進行に準じて進行感のあるコード進行)を作りだしている。

24小節目も同様にE♭maj7とすることができ、こんにち多くの場合そのように演奏することもある。

しかし、歴史的にさまざまな演奏を聴くと、24小節目は直前の23小節目を受けてB♭maj7のままとなっているものが多いことに留意すべきである。

具体的には50年代のErroll Gerner、Doris Day、Frank Sinatra、Adderley(1958)、Evans(1959)は概ね24小節目をB♭maj7で演奏しているものが多い。

しかし、Davis(1961)を聴くと、24小節目がE♭maj7で演奏されていることがわかる。彼の録音をすべてあたったわけではないし、誰のアイディアかも特定できないが、マイルス・デイヴィス・クインテットでは1960年頃にこのように演奏するようになっていたことがわかり興味深い。

25-26小節目

すでに述べたように、Am7(♭5) D7と演奏されることが多いが、あらためて歴史的に順を追って聞き直してみると、2小節を通してD7としている録音も少なくない。

ただし、ピアノ(またはギター)とベースが、相反することを演奏しても比較的サウンドするのであまり目くじらをたてるほどではない。

27-30小節目

27-28小節目をともにGm、29-30小節目をAm7(♭5) D7としても構わない。

ところが、比較的早い時期の録音から29小節目をE♭7とすることが好まれてきた(Em7(♭5) E♭7とする録音もある)。

さらに、こんにちでは27-28小節目をGm7 C7 | Fm7 B♭7 | とすることが好まれるようである。4度上行=5度下行進行がこの曲全体にもマッチし、かつコーラスの最後に向かってたたみかけるような強い進行感が得られるからである。

こうなると断然29小節のE♭7が活きることになる。なお、このE♭7は、機能的にダブルドミナント(II7すなわちA7)のトライトーン代理と説明することができ、実際にA7の録音も少なくない(この場合A7altとなる)。

リハーモニゼーション

たとえばKelly(1961)は、3-4小節目をBm7 E7 | B♭m7 E♭7 | のようにリハーモナイズしている。

細かくみるとストレート・メロディと衝突する個所があるが、演奏方法に気をつければうまく処理することができる。