Beatrice

Beatrice

基本データ

  • 作曲年:1964年頃
  • 作曲:Sam Rivers (1923-2011)

参考音源

Sam Rivers / Fuchsia Swing Song (1964)
サム・リヴァースのデビュー・アルバム。ピアノはジャッキ・バイアード、ベースはロン・カーター、ドラムスはトニー・ウィリアムズで、リヴァースはテナーを演奏する。キーはF/Fm。

曲目解説

サム・リヴァースのオリジナルのなかではもっともカヴァーされている曲であると思われる。

メロディとコード

オリジナル・キーで解説する。Fメジャー・キーで始まり、同主調のFマイナー・キーで終わる。

ナポリの6度

トニックに対して半音上をルートとするメジャー・セブンス・コードをナポリまたはナポリの6度という。ナポリ楽派が好んで使い、その際第1転回形が用いられたためクラシックの和音記号から「ナポリの6度」というが、こんにちのジャズをはじめとしたポピュラー和声では基本形で用いられることも多い。

2小節目、14小節目、16小節目がFメジャー/Fマイナー・キーの「ナポリの6度」、また、4小節目と6小節目はFメジャーの平行調であるDマイナーの「ナポリの6度」と理解してよい。いずれも基本形で用いられ、スケールはリディアンである。

9-10小節目

5小節目から12小節目あたりにかけてはDマイナー・キーに転調しているとかんがえられるが、この2小節はFメジャー・キーの文脈で考えるとよい。

すなわち、9小節目がダイアトニックなIIIm7すなわちAm7で原則としてフリジアンである。もっとも、カヴァーされている録音を聴くとF/Aのように演奏されることも少なくないけれども。10小節目はFからみてサブドミナント・メジャーである。

12小節目

ジャッキ・バイアードは微妙なプレイをしていて、一瞬Dmaj7にも聞こえるのだが、Dm7である。サム・リヴァース・ソロの内容がそれを裏付ける。

なお、バイアードはこの箇所にかぎらず、自分のソロにおいて、いわゆるコード/スケール理論から外れた音を意識的に用いているようだ。

13小節目

このGm7をあえてアナライズすれば、Dマイナー・キーのサブドミナント・マイナーかつFメジャー(もしくはマイナー)キーのIIm7のピボットであろう。

リズム

テーマの12-13小節目のキックは、きちんとされっておくこと。また譜面に書いておくほうがよい。