Bluesette

Bluesette

基本データ

  • 作曲年:1962年頃
  • 作曲:Toots Thielemans (1922-2016)
  • 作詞:Norman Gimbel (1927-)

参考音源

Toots Thielemans / The Whistler And His Guitar (1962)
おそらくこの曲の初録音と思われる。アルバムタイトルの通り、メロディを口笛で演奏している。キーはB♭。
Toots Thielemans / The Brasil Project (1992)
ブラジルのアーティストたちとの共演盤で、この曲は3拍子ではなくボサノバで演奏されている。キーはB♭。

曲目解説

ベルギー出身のギタリストでハーモニカ奏者のトゥーツ・シールマンスの代表曲。

構成

3/4拍子で記譜された譜面が多く、実際にそのように出版されているようである。

しかし、ここで仮に3拍子の2小節分を1小節とした6拍子で考えたとき、1コーラス12小節となり、冒頭6小節がチャーリー・パーカーのBlues For Aliceやジョン・コルトレーンのFreight Traneとほぼ同じコード進行になる。したがって、この曲を変則ブルースとみなすことができる。

初録音では印象的なイントロ/エンディング、エンディングに続くメロディと進行(いわゆる「ぎゃくじゅん」といわれるもの)、そしてシャウトコーラスなどがあり、よく演奏される。ワークショップでこれらの演奏が聞かれなかったのはやや残念であった。

メロディとコード

ここではキーをB♭、また拍子を(6拍子ではなく)3拍子として説明する。

1-2小節目

一般に、Gmaj7で演奏される。ところが、3拍子ではなくボサノバで演奏される場合、2小節目はCmaj7に進行させている(Thieleman, 1992)。これはおそらくボサノバの持つハーモニックな進行感にあわせているのだと考えられよう。

20-24小節目

結論からいえば、Dm7 | D♭7 | Cm7 | F7 | となる。 これはいわゆる「サンロクニゴ」(このキーではDm7 | G7 | Cm7 | F7)の「ロク」をトライトーン代理であるD♭7に置き換えたものである。

これとよく似た進行に、Dm7 | D♭dim | Cm7 | F7 | がある。このように、D♭7(♭III7)とD♭dim(♭IIIdim)はいずれも半音下行するよく似た進行で使用されることがある。メロディによっては少なくとも理論的にどちらの可能性もある場合もあるが、この曲のようにメロディによって一方に決まる場合も少なくない。

また、スケールを共有しないためお互い代理コードの関係にないので、原則として勝手に他方に置き換えてはいけない。

なお、全体としてブルース・フィーリングをそれほど感じることがない曲であるが、この箇所ではブルー・ノートが使われている。