Body And Soul #
基本データ #
- 作曲年:1930年頃
- 作曲:Johnny Green (1908-1989)
- 作詞:Edward Heyman (1907-1981)、Robert Sour (1905-1985)、Frank Eyton (1894-1962)
参考音源 #
- Coleman Hawkins (1939)
- 1930年代終わりの録音であるがビバップの要素を強く感じる演奏。キーは、D♭。
- Duke Ellington-Jimmy Blanton (1940)
- エリントンと伝説的なベーシストとの貴重な録音。キーはD♭。
- John Coltrane / Coltrane’s Sound (1960)
- 1960年録音で、リリースは1964年。ペダル・ポイントを多用し、ダブルタイムのミディアム・アップテンポの独特のサウンドになっている。キーはD♭。
曲目解説 #
比較的よく演奏されるジャズ・バラッドである。
メロディとコード #
キーをD♭として説明する。
1-4小節目 #
こんにちではE♭m7 B♭7 | E♭m7 A♭7 | D♭maj7 G♭7 | Fm7 Edim7 | のように演奏されることが多いだろう。ところが、古い録音を聴くともう少しシンプルで、E♭m7 | A♭7 | D♭maj7 A♭7 | D♭maj7 Edim7 | のようになっていることが多い。
古くから存在しているこの曲を年代順に注意深く聴くと、いわゆる「トゥ・ファイブ」が「ニ・ロク・ニ・ゴ」に変化したり、V7だったものがIV7に変化したりと、ジャズ、あるいはビバップのハーモニーがどのように発展したか、その過程をうかがい知ることができる。
6小節目 #
Cm7(♭5) F7 | と演奏されることが多いと思われるが、古い録音はA♭7 F7 | となっている。Cm7(♭5)はF7に前置していわゆる広義の「トゥ・ファイブ」をつくるわけだが、確かに、A♭79からルートを抜くとCm7(♭5)になるわけで、ジャズ・ハーモニーの面白さや成り立ちを録音から知ることができる。
事例研究:Coltrane’s Sound #
ここで、アルバムColtrane’s Soundに収められているBody And Soulを取り上げてみる。
なお、小節番号は、オリジナルを踏襲し、1コーラスを32小節のダブル・タイム・フィールとして考える。
イントロ #
基本的なコードはE♭m79/A♭で、これはA♭7sus4(9, 13)と書くこともできる。内声がE♭-D-D♭-Cと動いているので、E♭m/A♭-E♭mmaj7/A♭-E♭m7/A♭-E♭m6/A♭のように表現してもよいだろう。
セクションA #
E♭m7/A♭ | E♭m7/A♭ A♭7(♭9, 13) | D♭maj7/A♭ Amaj7/A♭ | D♭maj7/A♭ / Em7 A7 |
E♭m7/A♭ | E♭m7/A♭/ Cm7(♭5) F7 | A whole tone on A♭ | / / D♭maj7 B♭7 |
4小節目のメロディの3-4拍目は、オリジナルより半音下になっていることに注意。なお、オリジナルの♭IIIdim7を♭IIIm7 ♭VI7に変更することは、All The Things You Areの32小節目のように、ビバップではよく行われる。
また、7小節目から8小節目前半にかけてのコード表記は悩むがたとえばA7(♯5)/A♭のように分母でベースのA♭ペダル・ポイントを示しておいて、分子でホール・トーン・スケールであることを明示すればよいと考える(分子のルートは自分のしっくりくるものでよいだろう)。
8小節目の後半は、セクションBの直前に関してはEm7 A7である。
セクションB #
3-4小節目と、7-8小節目ではいわゆる「コルトレーン・チェンジ」(典型例はGiant Stepsだが、コルトレーンが演奏するBut Not For Meなどこの頃の演奏の特徴)である。また、5小節目がDm7(♭5)で始まっていることのも注意。
Dmaj7 Em7 | D/F♯ / Gm7 C7 | Dmaj7 F7 B♭maj7 D♭7 | G♭maj7 A7 Dmaj7 / |
Dm7(♭5) G7alt | Cmaj7 / B♭m7/E♭ E♭7 | A♭maj7 B7 Emaj7 G7 | Cmaj7 B7 B♭7 / |