Driftin’

Driftin’

基本データ

  • 作曲年:1962年頃
  • 作曲:Herbie Hancock (1940- )

参考音源

Herbie Hancock / Takin’ Off (1962)
ウォーターメロンマンが有名。キーはE♭。

曲目解説

鍛錬編の課題曲(2018年7月)として取り上げた。

各パートの役割

AABA形式で、2回目のメロディをピアノが演奏するほかは、2本の管楽器がメロディを演奏する。

セクションA

冒頭(アウフタクト)と、4小節目の4拍目に8分音符2つのいわゆるキメがある。これは最初、ピアノとドラムによって演奏されるが、ピアノがメロディを演奏する2回目のセクションAでは管楽器とドラムによって演奏される。

ここのキメは、ベースは敢えて演奏しないことに注意を払う必要がある。つまり、次の小節目の1拍目(強拍)を示すという役割を担う必要があるため、直前のこのキメを演奏しないほうが適切である。

判断力の未熟なベーシストであれば、ついキメのほうを弾いてしまいがちかもしれない。また、未熟なリーダーやアレンジャーがベースに演奏するように指示をする可能性もある。あるいは、2回目のセクションAで、ピアニストがキメとメロディの両方を演奏しようとするかもしれない。

しかし、ジャズのアンサンブルでは、それぞれのパートが状況時応じた役割分担をしっかり担うとともに、相手を信頼することがとても重要である。下手なサッカーチームのように、全員がボールを追いかけるような愚を犯すべきではない。

セクションB

ブリッジ、いわゆるサビの部分である。

前半の4小節で、4つの8分音符のアウフタクトに続く長い音符のモチーフが2回繰り返されている。前テーマでは、1小節目と3小節目、すなわち、メロディが伸びているところでピアニストがいわゆるブロック・コードで対旋律のようなものを演奏している。これは、あらかじめ編曲されたもののようにも思われるかもしれないが、後テーマを聞くと、前テーマとは異なる演奏をしているので、実際どうしていたかはわからない。ただし、完成度は非常に高いので、このようなものは一度その通りに演奏してみると、アンサンブルの役割というものが身体で覚えることができるだろう。

後半4小節目に先立つ2拍目、3拍目、4拍目それぞれウラに入るアウフタクト、そして5小節目の4つの4分音符のアーティキュレーションはしっかり練習する必要がある。同時に、ピアノ、ドラムがメロディに対してどのようにつけているか、そして、ベースはそれを横目に見ながら淡々と弾いているということを全員が理解しておく必要がある。

なぜこのようにしているか理解するには、試しに実際と異なる方法で演奏してみるとよく分かるだろう。もし、ベースまでがメロディにあわせたら、あるいは、ピアノも淡々と弾いた場合に、サウンドがどのように変化するか、実際に音を出して試してみよう。

また、7小節目4拍目の2つの8分音符で完全にブレイクし、8小節目の3拍のあいだは完全に全員が休符を演奏する。この効果について理解し、インパクトが最大になるにはどのように演奏することが必要か理解して練習することが大切である。このブレイクへの助走は遅くともブリッジの5小節目頃には始まっていると理解することも可能だろう。