Flamingo

Flamingo

基本データ

  • 作曲年:1941年
  • 作曲:Theodor Grouya (1910-2000)
  • 作詞:Edmund Anderson (1913-2002)

参考音源

Duke Ellington (1940)
初録音。歌はハーブ・ジェフ・リース。キーは、1コーラス目はD♭だが、途中から転調する。
Charles Mingus / Tijuana Moods (1957)
チャールズ・ミンガスの意欲作でリリースは1962年。3管のアレンジは大胆なリハーモナイズをともなう。キーはE。
Carmen McRae / Birds of a Feather(1958)
鳥にちなんだ曲ばかりを集めたアルバムで、ベン・ウェブスターが参加。キーはB♭。

曲目解説

作曲者がエリントン楽団の楽屋に売り込んで、録音された。

メロディとコード

キーをFとして説明する。

3-4小節目

もともとはFm | B♭m7 | (すなわち同主調のトニックIm – サブドミナントIVm7)であったが、こんにちではFm | B♭7 | で演奏されることが多い。

さて、このB♭7は何ですかという質問があった。一般にドミナント・セブンス・コードは、完全5度下の何らかのコード(あるいはその代理コード)に進行する性質がある。ところが、B♭7の次はD♭7であり、完全5度下のE♭ではない。

コードはひとつの解釈で満足してはいけないが、ここではFmに関連するコードであるということをぜひ覚えておいていただきたい。つまり、機能的にみると3-4小節目、Fm(トニック・マイナー)のみである。トニックは、基本的にどのコードへも進行することができるので、5小節目のD♭7(これは、ダブルドミナントのトライトーン代理と解釈できる)に進行しても何ら不審はない。

ドミナント・セブンス・コードに対して、その完全5度上をルートとするマイナー・セブンス・コードまたはハーフディミニッシュ・コードがリレイティブ・コードとして前置されることはよく知られている(代表的なものが、いわゆる「トゥ・ファイブ」)。

これと同様に、マイナー・コードから、その完全5度下をルートとするドミナント・セブンス・コードが後置されたり、あるいはもとのマイナー・コードを完全に置き換えるケースがある。この代表的な例のひとつが、Imに対するIV7で、まさにこの箇所である。

有名な例は、Mas Que Nadaのような曲のヴァンプ(コーラスの冒頭も)、Chelsea Bridgeの冒頭のコード、You Don’t Know What Love Isの6小節目などがあるが、Flamingoのこの箇所も同様に考えることができる。

5小節目

オリジナルも含めて一般に、D♭7である。次の小節がGm7 C7 | なので、ここの小節あたりから、同主調から原調に戻っていると考えることができる。

このコードは、機能的にダブルドミナントII7のトライトーン代理(いわゆる「裏コード」)であろう。特に、マイナー・キーにおいてII7のトライトーン代理はとても好まれる傾向にあり、例えばAutumn Leavesの29小節目、Blue Minorの5-6小節目(少しbluesyな効果もある)、Dear Old Stockholm(マイルス・デイヴィスなどのコード進行)の7小節目などにもみられる。