A Foggy Day #
基本データ #
- 作曲年:1937年
- 作曲:George Gershwin (1898-1937)
- 作詞:Ira Gershwin(1896-1983)
参考音源 #
- Ella Fitzgerald-Louis Armstrong/Ella and Louis (1956)
- ルイがヴァースから歌う。ゆったりとしたテンポ。キーはE♭(ルイ)からC(エラ以降)に転調する。
- Charles Mingus/Pithecanthropus Erectus (1956)
- 現代文明を批判した力作。自動車のクラクション、警官のホイッスルなどによって、交通渋滞による排気ガスをFoggyだと風刺している。キーはB♭。
- Billie Holiday All Or Nothing At All (1957)
- ヴァースから始め、コーラスは軽快なテンポ。キーはB♭。
曲目解説 #
1937年のミュージカル映画 A Damsel in Distress の一曲でフレッド・アステアが初演した。
メロディとコード #
以下、キーを出版されたキーのFとして説明する。
1-8小節目 #
似たようなコードが繰り返されるが注意も必要。
Fmaj7 | D7 | Gm7 | C7 | Fmaj7 | D7 | Gm7 | C7 | の繰り返しで演奏しても誤りではないが(実際そのような録音もある。例えばレッド・ガーランドの1956年の録音)、実際には様々な吟味を行ってよりよい表現を心がけたい。
ポイントになるのは、2小節目と6小節目で、メロディには、それぞれE♭とA♭というFメジャー・スケールから外れた音が使われている。これらの音は、D7に対してそれぞれ短9度、増11度(減5度=減12度のエンハーモニック・インターバル)にあたるので、テンションとして響くが、他の選択肢もある。
例えば、2小節目と6小節目は、D♭7あるいはA♭m7-D♭7で演奏することができる。また、A♭m7だけで演奏することもできる。実際には、2小節目と6小節目の両方をこのように置き換えたり(例えば1954年のバーニー・ケッセルの録音。ただし2コーラス目以降)、6小節目だけを置き換えたり(例えばHoliday, 1957)することがある。このような場合、機能的にはD♭7はダブル・ドミナントのトライトーン代理と解釈することができる(ほかの解釈も可能だが)。
また、2小節目と6小節目の両方または片方をA♭7またはE♭m7-A♭7とすることもある(例えば1958年のエラ・フィッツジェラルドや1961年のルー・ドナルドソンの録音)。この場合のA♭7は、次の小節のGm7(後述するようにG7としている演奏もある)へのドミナントである。
また、3小節目と7小節目(または7小節目のみ)をG7として演奏することができる。特に7小節目のメロディはGの音であるが、このようにIIm7やII7で演奏できる状況においてメロディがルートと一致する場合、IIm7ではなくII7が好まれる傾向がある(もちろん例外もある)。
9-10小節目と25-26小節目 #
ABAC形式と考えたときのセクションAの直後で、かつサブドミナント・メジャーB♭maj7に進行する箇所なので非常によく似ているが、メロディが異なる。つまり、9-10小節がEとCであるのに対し、25-26小節目はFとDである。
一般に9-10小節目が Fmaj7 | F7 | または Fmaj7 | Cm7 F7 | と演奏されるのに対して、25-26小節目は、Cm7 | F7 | と演奏されることがほとんどである。
注意したいのは、25-26小節目をFmaj7 | Cm7 F7 | と演奏しても(好みかどうかは別として)誤りではないのに対し、9-10小節目をCm7 | F7 |(あるいは全体をF7)と演奏するとメロディとコードが衝突して、誤りだということである。このように、ピアニスト、ギタリスト、ベーシストはメロディをきちんと理解することで適切なコードを選択して演奏する必要がある。