Gee Baby Ain’t I Good To You

Gee Baby Ain’t I Good To You

基本データ

  • 作曲年:1929年
  • 作曲:Don Redman (1900-1964)
  • 作詞:Andy Razaf (1895-1973)

参考音源

Don Redman and the Cotton Pickers (1929)
初録音のもの。キーはF。
Nat King Cole (1943)
カルテットによる録音で、大ヒットした。キーはE♭。
Billy Holiday / Body And Soul (1957)
このテイクは後年さまざまな形のアルバムに収められている。キーはD♭。
Art Blakey and The Jazz Messengers / Jazz Messengers (1961)
3管の頃の演奏で、テーマの各セクションの間にヴァンプがつくアレンジ。キーはE♭。

曲目解説

メロディとコード

オリジナルのキーはFであるが、ナット・キング・コールの1943年のアルバムがヒットした影響のせいかわからないが、インストゥルメンタルでは以後E♭の録音が多いので、ここでもキーをE♭として解説する。

1-4小節目

ドミナント・セブンス・コードが連続するがきちんと要点をおさえておきたい。

最初のC7をどう理論的に説明するかは難しいところ。平行マイナーの同主調のブルースのトニックという説明をきいたことがある。いずれにしてもスケールはミクソリディアン。

次のA♭7は、IV7で、サブドミナント・メジャーのブルース化と考えてもよいし、次のG7へのドミナントD7のトライトーン代理(つまり以下、A♭7-G7-C7-F7-B♭7と、ドミナント・セブンスのチェーンになっている)と考えてもよい。もちろんその両方を兼ねていると考えても構わない。スケールは、ミクソリディアン♯4でよいだろう。

2小節目のG7 C7については多少選択の余地がある。G7は♮13でも♭13でもよい。また♮13-♭13と1拍ずつ動かすこともできるが、その場合C7も♮9から♭9に動かすとなめらかなラインができる。

3小節目は、F7 B♭7となり、II7 V7である。メジャー・キーのII7はほとんどの場合ミクソリディアンもしくはミクソリディアン♯4となるが、ここでは例外的にオルタードである。なぜならば、メロディが♭9の音である。この音はブルー・ノートと考えてよいだろう。このように、ブルー・ノートをテンションとして合理的に取り組むときのII7はメジャー・キーであってもオルタードとなる。よって、次のB♭7も♭9や♭13系のテンションを入れるとサウンドする。

4小節目はE♭7でも構わないが、E♭maj7(メロディ・ノートがルートなので実際にはE♭6)としてもブルージーさをそこなうことはない。

9-10小節目

オリジナルはA♭maj7 A♭mのように演奏している。ただし、A♭mではベースがC♭を弾いているのであるが、譜面の指示なのか単にルートの連続を避けて3度に逃げたのかは判断できない(ひょっとしたら前者かもしれない)。

ただし、コール(1943)では、A♭maj7 Adim と演奏していて、以降の録音ではほとんど例外なくこれを採用している。

10小節目はオリジナル、コール以降ともに、E♭/B♭ E♭7 となる。

11-12小節目

直前の2小節と対になっているので、A♭maj7 Adim | E♭/B♭G7 | などとすればうまく処理できるような気がするのだが、ここは意外にさまざまなバリエーションが存在する。聴き比べてみると面白いだろう。