Give Me A Simple Life

Give Me A Simple Life

基本データ

  • 作曲年:1945年?
  • 作曲・作詞:Harry Ruby (1895-1974)、Rube Bloom (1902-1976)

参考音源

Stan Getz Quintet (1954)
テナーのスタン・ゲッツ名義で録音されたが、バルブトロンボーンで参加しているボブ・ブルックマイヤー名義のコンプリート盤にも収められている。キーはA♭。
J. J. Johnson, Kai Winding / Trombone For Two(1955)
2トロンボーンのクインテットによる録音。キーはF。
Carmen McRae / Bys Special Request (1956)
ミディアム・テンポ。キーはG。

曲目解説

1946年の映画 Wake Up And Dreams で初めて使われた。

同じ年にベニー・グッドマンが録音し、以来ジャズ・ミュージシャンによる録音も少なくない。

メロディとコード

さまざまなキーで演奏されるが、以下、キーを、出版されているE♭として説明する。

1-4小節目

IIm7にあたるFm7から始まる。

3小節目のFm7はE♭からみるとIIm7だが、平行調のCマイナーから見ればIVm(サブドミナント)となっており、ピボットである。ここから、ハーモニーの骨格は、Fm7 G7 | Cmと、マイナー・キーのサブドミナント-ドミナント-トニックになっている。

これをもとにFm7 Fm7/E♭ Dm7(♭5) G7 | Cm などのバリエーションが生まれる。もっともGetz(1954)などはCmには行っていないなど、ほかの可能性もあるけれども。

5-6小節目

オリジナルは異なるかもしれないが、1946年のベニー・グッドマンの録音から、Am7(♭5)から降りてくる進行となっており、定着している。

E♭からみてルートが♯IVからIII(あるいはその先)まで半音で下行する進行はいくつかバリエーションがあるので、私もいずれ整理しておきたいと思っている。

この曲では、Am7(♭5) A♭m6 | Gm7 Cm7 | となる場合が多い。

2つめのコードは理論的にA♭7としても問題はなくメロディとも衝突しないかもしれないが、個人的にはIVmであるA♭m6が好みである。

6小節目の後半は、C7にしてしまいがちだがメロディと衝突するので誤り。

7-8小節目

Fm7 C7 | Fm7 B♭7 | などとするが、Fm7に代えてF7にすることもできる(どちらか一方または両方)。このあたりの判断もあっち立てばこっち立たずで、全体の流れや雰囲気が自然になるようにするには難しい。

特に最初のF7について、直前のCm7がリレイティブ・マイナーにあたるので、F7が自然に引き出されるかもしれない。

上級者であれば、Fm7と書いてあってもF7に即興的にリハーモナイズするかもしれない。ただ、主観かも知れないが、F7と書いてある者をFm7にすることはあまりおこなわれない気がする。

23小節目

ここもFm7かF7かという判断が求められる。

ここは一般的にF7となりやすい箇所で、オリジナルの譜面もそうなっている。ただし、Fm7が好みという人もいるかもしれない。

またこのような好みは、長いキャリアのなかで多少揺れるものなのだと思う。リーダーの好みを尊重しよう。ただし、個人的に無頓着な態度には感心しない。