I Hear A Rhapsody

I Hear A Rhapsody

基本データ

  • 作曲年:1940年
  • 作曲・作詞:George Fragos、Jack Baker、Dick Gasparre

参考音源

Jimmy Dorsey (1941)
作曲・出版された翌年の録音で当時大ヒットしたという。キーはCm/E♭。
Jackie McLean / Makin’ the Changes (1957)
冒頭にテンポ・ルバートで演奏したのち、ミディアム・テンポで演奏している。1953年のジョージ・シアリングの録音同様、こんにちのコード進行に近い。キーはCm/E♭。
Bill Evans-Jim Hall / Undercurrent (1962)
スロー・テンポでの演奏。それにあわせて絶妙なリハーモナイズが行われている。キーはCm/E♭。

曲目解説

3名の名前が作者としてクレジットされているが詳細はよくわからなかった。

メロディとコード

以下、キーをCm/E♭として説明する。

1-3小節目

Cmのキーのトニック・マイナーから始まって、平行調のトニック・メジャーへ進行している。

McLean(1957)など、こんにちではシンプルに、Cm | Fm7 B♭7 | E♭maj7 | としているが、Dorsey(1941)はCm7 A♭maj7 | Fm7 B♭7 | E♭maj7 (Edim) |、またEvans-Hall(1962)は、Cm7 G♭7 | Fm7 B♭7 | E♭maj7 (A♭7) | としている。

Dorseyのような3度下行進行はLullaby Of Birdlandの3-5小節目のように、ジャズでたまに見かけるリハーモナイズのテクニックである。

また、Hall-Evansの1小節目後半のG♭7はテンポとメロディと相まって劇的な効果があるが、同時に3-4小節目の彼らによるリハーモナイゼーションE♭maj7 A♭7 | Gm7(♭5) C7 | と対をなしている。

5-6小節目

7小節目のE♭maj7に進行するが、メロディの音に注意する必要がある。こんにちではMcLean(1957)のようにFm7(♭5) | B♭7 | と演奏することが多いように思われる。

Evans-Hallでは、Fm7 A♭m7 | Cm♭7 B♭7 | のように短3度で上行するコードをつけている。

21-24小節目

特に22小節目のコードをどうするかで議論になることがあるが、McLean(1957)もEvans-Hall(1962)も、またジョージ・シアリングなどの演奏を聞いてもFm7としている録音が多い。

このFm7は、B♭メジャー・キーの文脈においてVm7にあたり、たまに登場するコードである(例えばDay In Day Outの25-28小節目=属調に転調しているが)が、この曲において、これはCマイナー・キーのコンテクストから見るとサブドミナント・マイナーであり、一種のピボットとして機能していると考えることができよう。

ちなみにJimmy Dorseyは、B♭/F | Dm7(♭5) | A♭7 G7 | A♭7 G7 |としていて、このほうが機能がわかりやすいかもしれない。