If I Should Lose You

If I Should Lose You #

基本データ #

  • 作曲年:1935年
  • 作曲:Ralph Rainger (1900-1942)
  • 作詞:Leo Robin (1900-1984)

参考音源 #

Charlie Parker With Strings (1949)
プロデューサーであるノーマン・グランツによるストリングスとの録音。キーはGm/B♭で始まりAm/Cに転調する。
Hank Mobley / Soul Station (1960)
ミディアム・アップで演奏して、リズムのキメがあるアレンジ。キーはDm/F。
Booker Little And Friends (1961)
オリジナル中心のアルバムのなかで唯一収められているスタンダード・ナンバー。スロー・テンポで演奏する。キーは、Dm/F
Roy Haynes / Out Of Afternoon (1962)
ローランド・カーク、トミー・フラナガン、ヘンリー・グライムズによる録音。キーはGm/B♭。

曲目解説 #

映画 Rose of the Rancho で初めて演奏された。ただし、当時この曲がそれほどヒットしたわけではないようだ。

メロディとコード #

キーをGm/B♭として説明する。

5小節目 #

1小節目の、メロディが半音上行するモチーフが繰り返されている。

ここのコードをE♭maj7とすると、強拍(1拍目)においてF♯というコード・トーンでもなければテンションにもなりえない音がメロディにきている。ピアニストやギタリスト、あるいはアレンジャーはこのようなときのボイシングの仕方をきちんと学んでおこう。すなわち、メロディF♯に対して一時的にE♭dim7 とし、Gに対してE♭maj7とするのである。譜面上は、リード・シートであればE♭maj7としておいても良いだろう。

ちなみに、1小節目のメロディはGm7に対してA-B♭となっており、それぞれ長9度のテンション、コード・トーンの3度なのであるが、メロディAに対してCdim7/Gでボイシングすることもできる。

15-16小節目 #

古い録音の中には、F7(これはB♭のキーにおけるドミナント)としておいてから、16小節目、あるいは16小節目の後半でD7(これはDmのキーにおけるドミナント)としているものが比較的多い(例えばParker 1949)。

Haynes(1962)はCm7 Cm7/B♭| Am7(♭5) D7 | としている。Cm7をF7のリレイティブ・コードと考えれば、F7-D7 の変形と考えることも可能である。

このほか Am7(♭5) | D7 | とする録音も多い。

28-29小節目 #

27小節目がB♭maj7であるが、28小節目は、D7 Gm 、すなわちGmのキーのドミナント-トニック・マイナーとしなければならない。27小節目後半をE♭7としてもよい。

つまり、Gmキーのコンテクストで考えるのが重要なのであって、B♭のキーのまま考えると、29小節目以降も含めて、「サン・ロク・ニ・ゴ・イチ」と考えて、28小節目をDm7 G7 としてしまいがちなので注意したいところである。メロディにもあわない。耳をしっかり使っていればこのようなミスを防ぐことができる(理論で考えていると見落としがちである)。

29小節目は、Cm7でもよいが、C7としている録音も多い。私なりの理解だが、直前(28小節目後半)のGmがC7のリレイティブな関係にある。私の観察によれば、マイナー・コードには、完全5度下(完全4度上)をルートとするドミナント・セブンス・コードを「呼び込む」効果がある。

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