I’ll Be Seeing You

I’ll Be Seeing You

基本データ

  • 作曲年:1938年
  • 作曲:Sammy Fain (1902-1989)
  • 作詞:Irving Kahal (1903-1942)

参考音源

Sarah Vaughan / Soft & Sasst (1961)
ゆったりとしたテンポ。キーはD♭。
George Shearing-Mel Torme / An Elegant Evening (1985)
トーメとシアリングの共演盤は何枚かある。キーはD。
Tony Bennett / Perfectly Frank (1992)
フランク・シナトラへの追悼盤。ヴァースから歌う。キーはE♭。

曲目解説

メロディとコード

キーをE♭として説明する。

なお、この曲には同主調から始まる大変魅力的なヴァースがある。

2小節目

G7としている録音があり、またそのような譜面もある。例えば、1944年のTommy Dorsey楽団(歌、Frank Sinatra)の録音ではそのようにしている。

ただし、G7から3小節目のFm7という進行は機能的でないようにも思われる。「機能的でない」というのが言い過ぎで不適切と言うなら撤回するが、いずれにしてもあまり他に例のない馴染みのない進行であるということは言えるだろう。

ただし、G7のサウンドはメロディによくマッチしていることも事実であろう。そこで、例えば、Vaughan(1961)のように2小節目をG7 Cm7 のようにするという解決法もあるだろう。

このほかの選択肢として、Cm7、Gm7-G♭dim7、E♭maj7(♯5)、E♭maj7のまま、などが考えられる。

3-4小節目

Fm7 | B♭7 | としてもよいのだが、Fm7 C7 | Fm7 B♭7 | のようにすることもできる。

このほか、あまりモダンな方法ではないかもしれないが、Fm7のままとしておいて、5小節目以降でB♭7などに進行させる方法もある。

7小節目

コードはトニック・メジャーのE♭maj7で構わない。

ただし、メロディの1拍目がF♯である。ミディアム・テンポ以上であれば直後の2拍目、すなわちコード・トーンのGに進むためそれほど問題がないが、ある程度ゆっくりしたテンポの場合、コードトーンでもなければテンションでもないこの強拍のメロディに対して、何らかの処理をするほうがよいケースがあり、これはピアニストやギタリスト、あるいはアレンジャーの仕事である。

一般には1拍目のみE♭dim7とするか、比較的古い録音では、Dmaj7のように、コード全体を半音下からアプローチする手法も聞かれる。

このように、ピアニストやギタリストは、リード・シートに書かれたコードを無批判に演奏するのではなく、メロディとの関係に注意して適切な処置を行うことが必要である。

25小節目

A♭maj7 とするか Fm7 とするか、意見が分かれるところであろう。これは、I Remember Youの25小節目とまったく同様の議論である。

なお、仮にA♭maj7 を選択するとしても、直前の23-24小節目をGm7(♭5) | C7 | としている録音もあった(例えば、Shearing-Torme 1985 やBennett, 1992 など)。個人的には最近、C7-A♭maj7 のような3度下行進行の可能性に注目している。

30小節目

サブドミナント・マイナーA♭m6(代理コードD♭7を含む)とするか、ドミナントB♭7(♭9)とするか、あるいは両者を組み合わせA♭m6-B♭7(♭9)とするか、主な選択肢が3つある。