It’s All Right With Me #
基本データ #
- 作曲年:1953年
- 作曲・作詞:Cole Porter (1891-1964)
参考音源 #
- Sonny Rollins / Worktime (1955)
- アップテンポで演奏する。キーはDm/F。
- Peggy Lee / Dream Street (1955)
- こちらもアップテンポで歌う。キーはGm/B♭。
- Ella Fitzgerald at Opera House (1959)
- 上の2つと比べるとやや遅い2フィールで始めている。キーはGm/B♭。
曲目解説 #
1953年のミュージカル『カンカン』の曲。このミュージカルは、コール・ポーターのなかで『キス・ミー・ケイト』に次いで2番目のロングランになった。
『カンカン』は1960年に映画化されたが、オリジナルの数曲がカットされ、ほかのポーター作品が追加されている。映画ではフランク・シナトラがこの曲を歌った。
メロディとコード #
ここでは、キーをDm/Fとして説明する。
この曲は、マイナー・キーで始まり、平行調のメジャー・キーで終わる。このような曲のキーをあらわす場合、長調・短調どちらのキーでいうこともある。Dm/Fのように、両方のキーを併記すると誤解がなくてよいだろう。
5-6小節目 #
おそらくもともと、C7だったと思われるが、Lee(1955)やFitzgerald(1959)のように Bm7(♭5) | E7 | のように演奏する場合も少なくない。
C7は、Fメジャー・キーからみるとドミナントで、直前のGm7(Dマイナー・キーのサブドミナント・マイナー)とリレイティブな関係にある。いっぽう、E7は、次の小節Am7へのセカンダリ・ドミナントで、 Bm7(♭5)はそのリレイティブ・コード。
ブリッジのディミニッシュ・コード #
ブリッジの前半8小節のコードは、
F♯dim7/F | % | Fdim7 | % | Edim7/F | % | Fmaj7 | % |
のように、ベースのペダル・ポイント(Fメジャー・キーのトニック)の上に3つのディミニッシュ・コードが半音下行進行している(ディミニッシュ・コードのルートの選択は任意)。
これは、一度、| D7(♭9) | % | G7(♭9) | % | C7(♭9) | % | Fmaj7 | % | との関連で捉えると理解しやすいだろう。
書き換えたコード進行の3つのドミナント・セブンス・コードは、いわゆるドミナント・セブンス・コードのチェーンになっていて、いずれも短9度のテンションをとる。そして、ルートを省略して、適宜転回すれば、それぞれもとのディミニッシュ・コードになる。
さらに、リレイティブ・コードを前置させて(ただし、メロディの都合でG7に対してはリレイティブ・コードを前置させない)、Am7(♭5) | D7(♭9) | G7(♭9) | % | Gm7(♭5) | C7(♭9) | Fmaj7 | % | のように演奏することもできる。
続く4小節も同様である。