Lover

Lover

基本データ

  • 作曲年:1932年
  • 作曲:Richard Rodgers (1902-1979)
  • 作詞:Lorenz Hart (1895-1943)

参考音源

Peggy Lee / Lover (1952)
ヒットチャート3位に入るほどのヒットとなった。キーはA♭。
John Coltrane / The Last Trane (1958)
1958年のレコーディング・セッションで、このトラックは1966年になってリリースされた。とても速いテンポの4拍子で演奏されている。キーはE♭。
Art Bleakey / Drum Around The Corner (1958)
これも1958年の録音でリリースは1999年。キーはE♭。
Sonny Clark (1958)
名盤 *Cool Struttin’* と同じレコーディング・セッションのもの。後年 *Sonny Clark Quintets* としてリリースされたほか、*Cool Struttin’* のCDにはボーナス・トラックとして入っているものもある。キーはE♭で、テーマのブリッジ部分は3拍子になっている。

曲目解説

1933年の映画 Love Me Tonight(邦題『今晩は愛して頂戴ナ』)で初演された。

メロディとコード

4/4拍子で演奏されることが多いが、もともとワルツ(3/4拍子)である。

以下キーをE♭として説明する。

1-12小節目

E♭maj7-D7-D♭7-C7-B7-B♭7のように、2小節ごとにメロディ、ベースラインともに半音ずつ下行して、ドミナントB♭7まで来たら13小節目にトニックE♭maj7に至る。

ハードバップの演奏では、それぞれのドミナント・セブンス・コードの前半を、それに関連するマイナー・セブンス・コードに置き換えて演奏することが多く、さらに、冒頭2小節もE♭7とその関連するコードに置き換えてしまうことも多い(たとえばClark, 1958)。この場合、結果として、B♭m7 | E♭7 | Am7 | D7 | A♭m7 | D♭7 | Gm7 | C7 | F♯m7 | B7 | Fm7 | B♭7 | となる。

また、テーマではメロディに合わせ、偶数小節の1拍目を1拍アンティシペートするアレンジを施すこともあることにも注意。

39-40小節目

ブリッジの前半部分はGメジャーのキーに転調し、ここは、さらにブリッジ後半のB♭メジャーへ転調する部分である。

転調前のキーであるAm7 | D7 | として突然B♭maj7 に進行する録音が多いが、Cm7 | F7 | としてスムーズに転調させてもメロディには適う。

45-48小節目

ここは、ブリッジ後半の一時的に転調したFメジャーのキーから元のE♭メジャーのキーに戻るところであり、全体として -B♭7(あるいはB♭maj7-B♭7)ということになる。ただし、バップ以降のジャズ・イディオムで演奏することを考えると、同じコードが4小節も続くと演奏しにくいといえる。

この問題を回避するために、たとえばColtrane(1958)はB♭maj7 | B♭dim7 | Fm7/B♭ | B♭7 | としているし、Blakey, 1958はFm7/B♭ | F♯maj7 | Bmaj7 | Emaj7 |のように演奏している。