Meditação #
基本データ #
- 作曲年:1960年頃
- 作曲:Antônio Carlos Jobim (1927-1994)
- 作詞:Newton Mendonça (1927-1960)
- 英詞:Norman Gimbel (1927- )
- 英詞:Meditation
参考音源 #
- Antônio Carlos Jobim/The Composer of Desafinado Plays (1963年)
- 編曲はClaus Ogerman。キーはB♭。
- The Astrud Gilberto Album (1965)
- ハリウッドでの録音で全米でヒットしたアルバム。キーはG。
- Ella Fitzgerald / Ella In Berlin (1960)
- この曲が最初にヒットした都市、ベルリンでの実況盤。キーはGから半音ずつD♭まで転調している。
- Francis Albert Sinatra & Antônio Carlos Jobim (1967)
- シナトラがジョビンと共演したアルバムで、この曲はシナトラが英語で歌う。このアルバムの編曲もOgermanで、キーはB♭。
曲目解説 #
メロディとコード #
メロディは、長い音価ののちクロマティックで3音下行するラインがモチーフとして貫かれている。
以下、キーをB♭として説明する。
3-4小節目 #
ワークショップ中にこのA7(または、Em7-A7あるいはEm7(♭5)-A7のように演奏することもできる)は何か、という質問があった。
完全5度下(D)をルートとする何らかのコードに進行しているわけではなく(Dm7はB♭maj7の代理コードではあるが、その逆ではない)、かつ、トライトーン代理のE♭7に置き換えると、偶然メロディにフィットするもののサウンドが全然別のものに変わってしまうので、(広義の)ドミナント機能をもっているのではないと私は判断している(ただし、これについては異なる見解もあるだろう)。
私は、このA7(VII7)は、トニック・ディミニッシュ(B♭dim7)代理であると考えている。このA7は、半音-全音ディミニッシュ・スケール(俗に言う「コンディミ」)が前提となっているが、このスケールは、B♭dim7を前提とするB♭の(全音-半音の)ディミニッシュ・スケールと共通である。
16小節目 #
17小節目のサブドミナントE♭maj7に対して、16小節はドミナントF7でよいのかと質問を受けた。
私のジャズ・ハーモニーのカリキュラムでは、ハーモニーの基本をしっかり理解してもらうために童謡のようなシンプルな曲に対して、トニック、サブドミナント、ドミナントのみを使ってハーモナイズする課題を出して分析させるのだが(ついでに10曲以上サンプルをとって6種類のコード進行のうちどの進行がよく現れるか統計を取ってみる)、ドミナントからサブドミナントという進行もわずかながら存在する。
したがって、結論としてF7のままで構わない。もちろんB♭7を挿入することもできるが、ボサノバのハーモニック・リズムとの関係から必ずしも適切なのか、という視点で検証する必要はあると思う。