My Favorite Things

My Favorite Things #

基本データ #

  • 作曲年:1959年
  • 作曲:Richard Rodgers (1902-1979)
  • 作詞:Oscar Hammerstein II (1895-1960)

参考音源 #

Sound Of Music Original Broadway Cast (1959)
いわゆる原曲。歌はMary MartinとPatricia Neway。キーはEmで始まりFmに転調する。
John Coltrane / My Favorite Things (1961)
コルトレーンがソプラノ・サクソフォンを演奏する青いカヴァー写真でおなじみ。キーはEm。
Sarah Vaughan / After Hours (1961)
同じく1961年の録音。この曲にしては遅めのテンポ。キーはEm。

曲目解説 #

1965年の映画『サウンド・オブ・ミュージック』でジュリー・アンドリュースが歌っているのが有名であるが、これはブロードウェイ・ミュージカルを映画化したもので、1959年のブロードウェイではメアリー・マーティンとパトリシア・ニューウェイとのデュエットで演奏された。

ちなみにジョン・コルトレーンがこの曲を録音したのは1961年。ということは、コルトレーンは舞台を見たのだろうか。あるいは舞台を見なくても流行するほどこの曲がヒットしということか。

なお、このミュージカルでは、タイトル曲のほか、「ドレミの歌」、「エーデルワイス」など、多くの名曲が使われ現在も歌い継がれている。

構成 #

1コーラスをAABC形式とみなすことができる。BはAとほぼ同じだが冒頭8小節が同主長調に転調している。Aと2回目のAの間、2回目のAとBの間には、たいてい数小節のヴァンプが挟まれるがこれは原曲にも存在していて2小節である。ただしジャズではもう少し長いことが多い(例えばColtrane 1961の場合は8小節)。

メロディとコード #

演奏者によってヴァンプの小節数が異なるため、前節「構成」のAABC形式ごとに小節数をカウントする。また、以下、キーをEmとする。

なお、Coltrane(1961)のコード表記法はさまざまで、曲中に若干のバリエーションがある。また、採譜には細心の注意を払ったが誤りがある可能性も高い。ご不審な点があれば、ご指摘をいただけるとありがたい。

セクションA #

セクションAの16小節のうち、前半は、トニック(Em)と、平行調のサブドミナント(Cmaj7)が4小節ずつである。

そして後半は、こんにちではAm7 | D7 | Gmaj7 | Cmaj7 | Gmaj7 | Cmaj7 | F♯m7(♭5) | B7 | にように演奏することが多いように思われるが、原曲では、Am7 | D7 | G/B | C/E | G/D | Cmaj7 | F♯m7(♭5) | B7 | のようになっている。ハーモニーの枠組みはまったく同じだが、このようなベースの動きにすることでずいぶんと印象が変わる。

なお、Coltrane(1961)では、前半が、Em | Emmaj7 | Em6 | Emmaj7 | Cmaj7/E | Am/E | Cmaj7/E | Am/E |のようになっている(5-8小節目は誤りがありそう。諸先輩方にはご教示願いたい)。なお、5-8小節目、マッコイ・タイナーがメロディを弾く箇所ではEm | F♯m7/E | のように処理しているようだ。

さらに後半は、ちょっと自信がない箇所もあるがおおまかに、Am9/E | D7(9, ♮13)/E | Gmaj9/E | Fmaj7 | Cmaj7/E | Em7 | F♯m7(♭5)/E | B7 | となっている。

ちょっと見づらいが、全体的には原曲のハーモニーの枠組みを残しつつも、Cmaj7/Eのようなことをしたりとなかなか興味深い。

ちなみに、バンプは、原曲はEmだけなのに対し(もともと2小節しかない)、コルトレーンはGmaj7/E | Amaj7/E | の繰り返しになっている。大雑把には、Emのサウンドであるにもかかわらず、偶数小節目には、あろうことかEからみて長3度上にあたるG♯(通常では短調ではなく長調のように響くであろう音)をヴォイシングに含めるなどたいへん興味深い。

セクションB #

原曲の前半は平行調に転調していて、トニック(Emaj7)とサブドミナント(Amaj7)が4小節ずつとなっている。

いっぽうColtrane(1961)の前半は、Emaj7 | Amaj7/E | Emaj7 | Amaj7/E | Amaj7/E | Bm7/E | Amaj7/E | Bm7/E | となっているようである。

後半はいずれもセクションAと同じ。

セクションC #

原曲は、Em/G | Em7 | F♯m7(♭5) | B7 | Em | (Gmaj7) | Cmaj7 | Cmaj7 || Cmaj7 | Cmaj7 | A7/C♯ | A7/C♯ | G/D | G/D | D7(♭9) | D7 | Gmaj7 | Cmaj7 | Gmaj7 | B7 || のようになっている。

いっぽう、Coltrane(1961)ではセクションCが演奏されるのは演奏の後半部分だけで、Em | Em | F♯m7(♭5) | B7/E | Em | Em | Cmaj7/E | Bm7/E || Cmaj7/E | Bm7/E | Em | F♯m7/E | F♯m7/E | C/E | C/E B7(♭9) | のように来たら、エンディングのヴァンプEm7 | F♯m7/E | の繰り返しとなる。