The Nearness Of You

The Nearness Of You #

基本データ #

  • 作曲年:1938年
  • 作曲:Hoagy Carmichael (1899-1981)
  • 作詞:Ned Washington (1901-1976)

参考音源 #

Sarah Vaughan / In Hi-Fi (1950)
ヴァースから歌っている。キーはD♭。
Gerry Mulligun/ The Original Mulligun Quartet (1952)
チェット・ベイカー(tp)・カーソン・スミス(b)・ラリー・バンカー(ds)とのカルテット。キーはE♭。
Ella Fitzgerald-Louis Armstrong / Ella and Louis (1956)
エラとルイのデュエット。1コーラスずつ歌い、トランペットのソロがあり、聞きどころ満載。キーはD♭。
Warne Marsh / Ballad Album (1994)
タイトル通り、マーシュのバラッド集。キーはB♭。

曲目解説 #

1938年に書かれたこの曲は、Romance In The Dark という映画で使われる予定だったとされている。一方で、実はそうではなく、Romance In The Rough という未完の映画のために作曲されたという説もある。大変よく似たタイトルであるうえ、後者が未完だったために、Rommance In The Dark と取り違えられたというのだが、私にはその真偽の判断はできない。

いずれにしても、映画で使われることはなく、1940年、歌手Ray EberleがGlenn Miller楽団と録音されたものが初公開となり、まずまずのヒットをする。このレコードでは、前奏のキーはD♭であるが、歌が入るところでFに転調する。

ちなみに、ヴァースがあるがこの初演では採用されなかった。

メロディとコード #

キーはFとして記述する。

4小節目 #

初録音では、Gdim7のようにベースをGにしているが、一般的には、B♭dim7のようにすることが多いかと思われる。

他には、Bm7(♭5) E7というリハーモナイズも一般的。

15小節目 #

このような何気ないところにも、演奏者のセンスが光ることがある。

初録音では、Fmaj7 / C7sus4 C7(♭9)としている。これは、時代性やビッグバンドということもあり、こんにちから見ればやや窮屈な印象を受けなくもないが、大雑把にはトニック-ドミナント(-トニック)という基本的な流れである。

他にも、Fmaj7 / B♭m C7 としたり(Fitzgerald and Arnstribg (1956))や、Fmaj7 G♭maj7(Marsh(1994))など、さまざまなハーモナイズが可能であろう。

19-20小節目 #

大雑把にトニック(Fmaj7)サブドミナントへのセカンダリードミナント(F7)なのだが、オリジナルメロディでは、19小節目の3拍目からE♭音がメロディにきてしまい、もしここのハーモニーがFmaj7のままだと衝突してしまう。

回避方法としてメロディを変更する(1小節かけてA Fとし、E♭音を20小節目に持ってくる)か、あるいは、ハーモニーで工夫する(テーマのときだけFmaj7とF7を2拍-6拍にする、または、Fmaj7 F7 | Cm7 F7 | とする)などの方法がある。

このような処理も音楽性が垣間見えるようで面白い。

21小節目 #

初録音ではB♭maj7だけであるが、B♭maj7/ Bm7(♭5) E7 としたり、B♭maj7 Gm7とする録音もある。

23小節目 #

ここも初録音ではGm7としているが、G7やそのヴァリエーションという選択肢もある。