On The Sunny Side Of The Street #
基本データ #
- 作曲年:1930年
- 作曲:Dorothy Fields (1905-1974)
- 作詞:Dorothy Fields (1905-1974)
参考音源 #
- Dizzy Gillespie – Sonny Rollins – Sonny Stitt / Sonny Side Up (1957)
- 前テーマのユニゾン、ソロのあとのガレスピーの歌など、聞きどころ満載。キーはC。
- Ella Fitzgerald – Count Basie / Ella and Basie! (1960)
- ものすごく難しいテンポで実によくスウィングしている。キーはG。
- Duke Ellington / Great Paris Concert (1960)
- エリントンはジョニー・ホッジスをフィーチャーして長年この曲をレパートリー加えている。ちなみにホッジスは1937年のライオネル・ハンプトンの録音でもこの曲を演奏している。キーはC。
曲目解説 #
1930年、ミュージカル Lew Leslie’s International Revue のために作曲された。このミュージカルは失敗に終わったが、この曲と、Exactly Like Youのヒット曲が生まれた(Ella and Basie(1960) の、テーマから数えて13-14小節目のEllaの歌がこのExactly Like Youのメロディを引用しているように聞こえるのはこの事実を踏まえてだろうか。それともただの偶然だろうか)。
この曲を公式に出版した作曲者はJimmy McHughであるが、原作者はFats Wallerであるという説がある。JazzStandards.comの記事によれば、この曲と、I Can’t Give You Anything But Love、それにIf I Had Youは、もともとウォーラーの曲であったが、当座のカネ欲しさに権利をマックヒューに売却したという。
多くのジャズ・ミュージシャンがこの曲を取り上げ、現在でも演奏されている名曲である。
メロディとコード #
ジャズでは、作曲者が書いたオリジナルのメロディ(ストレート・メロディ)を崩して演奏することが多い。これをフェイクというが、この曲のいろいろな録音を聴き比べていて興味深いのは、曲集に収録されているメロディとくらべて、このフェイクの外れ方が特に大きいように思われる。詩の場合もこの傾向が大きい。
このミュージカルは不発に終わったので、ミュージシャンが演奏にあたって参考にした資料は、楽譜と録音資料(特にヒットしたもの)、それに実際のステージだったと思われる。大恐慌のどん底の時代に作曲されたこの曲が時代を経るにつれてどのように歌われるか、時系列に並べて聴き比べるのも面白い。
以下、キーをCとして説明する。
2小節目 #
メロディはEの音である。コードはE7がつけられていることが多いが、古い録音を参照すると、Bm7(♭5) E7 のように演奏している録音がほとんどである。
ちなみに、E7は次の小節のFmaj7(サブドミナント・メジャー)に進行する。IVmaj7(サブドミナント・メジャー)に進行するIII7はほかにSomeday My Prince Will Come(2-3小節目)などがある。
4小節目 #
作曲された1930年のTed Lewisの録音はG7(実際はキーがDなのでA7)で演奏されている。
こんにちでは、次の小節(Am)へ進行するために、Bm7(♭5) E7 とすることが多い。2小節目をE7だけに単純化する理由は、2小節目と4小節目に同じ進行となるのを避けるためかもしれない。1940年代前半にBenny Goodmanが早くもこの進行を採用している。
ただ、オリジナルを尊重すれば、G7 E7 あるいは、G7 G♯dim7のように演奏するという選択肢ももっと検討されても良いのではないか。例えば、1944年のBilly Holidayの録音、1945年のTommy Dorseyの録音はこのようになっている。
8小節目 #
1930年のTed Lewisの録音は、メロディがド、コードがCmaj7となっている。つまり、16小節目、32小節目とまったく同じである。オリジナルが果たしてそうなのかはまだ確認できていない。
ただ、こんにちではメロディをソとすることが一般的だと思う。
初期の録音のコード進行は、Cmaj7 G7 という感じのものが多いが、16小節目・32小節目とハーモニーでも区別するために、1952年のLester YoungがOscar Petersonと共演している録音のように、Em7 A7 Dm7 G7とするケースも多い。
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