’S Wonderful

’S Wonderful

基本データ

  • 作曲年:1927年
  • 作曲:George Gershwin (1898-1937)
  • 作詞:Ira Gershwin(1896-1983)

参考音源

Oscar Peterson / George Gershwin Songbook (1952)
ハーブ・エリス、レイ・ブラウンとのトリオ。キーはE♭で始まり、Fに転調する。
Helen Merril with Clifford Brown (1955)
名盤中の名盤。キーは歌の部分がAで、ソロ中はE♭に転調している。
Joaõ Gilberto / Amoroso (1976)
ボサノバの定番といえばこれ。ブリッジ直後の8小節を1小節縮めて演奏している。キーはF。

曲目解説

1927年のミュージカル Funny Face の一曲。

公演は大成功を収め、この曲も大ヒットし、多くのカヴァー録音がヒットチャートを賑わせた。一方、オリジナルキャストであるAdeleとFredのAstair姉弟は休暇中それぞれ事故に遭い、大ヒットの恩恵にはあやかれなかった。

Funny Face は1957年に映画化されたが、大半がガーシュウィンによる音楽であるが、オリジナル・スコアのうち映画で使用されたのは4曲のみであるという。

コードとメロディ

キーをE♭として説明する。

3-4小節目

Edim7と書かれることが多いが、C7(♭9)/Eということであろう。もちろん、C7や、Gm7 | C7 | としても構わない。

17-20小節目

ここはこの曲でもっとも議論が分かれるところである。

今日的にもっとも演奏されるのは、Gmaj7 E7 | Am7 D7 | Gmaj7(Bm7) E7 | Am7 D7 | と2拍ずつ動くか、あるいは、Gmaj7 | E7 | Am7 | D7 | と大きく捉えるかであろう。

原曲はわからないが、ガーシュウィンをフィーチャーした映画『パリのアメリカ人』など(ただし、編曲の段階で手が加えられている可能性はあるが)や、ジャズの演奏を時系列的に並べて推測するに、おそらく、オリジナルは、Gmaj7 | D7 | Gmaj7 | D7 | に近いものであったと考えられる。ゆえに、上のふたつのうち、原曲に近いものは前者ということになる。

しかし、ゆったりとしたテンポで演奏するにはよいが、アップテンポで演奏するには、ややこのコード進行は忙しい。

そこで、大きくとらえた後者の演奏が登場する。例えば、Merril-Brown(1955)などはその典型である。

21-24小節目

Gm7 | C7 | Fm7 | B♭7 | というのがこんにちの標準的なコード進行だろう。しかし、すべてドミナントセブンスにすることもできる(映画版 Funny Face はそうなっている)。

27-28小節目

この曲のフォームは大雑把にA-A-B-Aだからといって、この箇所を無批判に3-4小節目と同じコードをつけてはいけない。

メロディはE♭ E♭ Cなので、理論的にはC7altでも構わないが、今日ではF♯dimやE♭dim7(転回すればどちらも同じトニック・ディミニッシュの仲間)で演奏されることが多い。しかし、ミュージカル映画『パリのアメリカ人』では私の記憶が正しければF7になっているはずだし、映画版のFunny FaceはCm7 F7 | Cm7 F7| になっている。