September In The Rain
基本データ
- 作曲年:1935年?
- 作曲:Harry Warren (1893-1981)
- 作詞:Al Dubin (1891-1945)
参考音源
- George Shering (1949)
- ジョージ・シアリング・クインテットによる録音で、いくつかのコンピレーション盤に収録されている。キーはE♭。
- Sarah Vaughan / At Mister Kelly’s (1957)
- トリオはジミー・ジョーンズ、リチャード・デイビス、ロイ・ヘインズ。キーはA♭。
曲目解説
1937年の映画 Melody For Two で初めて使われた。
ただ、JazzStadards.comの記事によれば、1935年の映画 Stars Over Broadway のためにすでに曲が準備されていたが、カットされたという。資料によっては、こちらのほうを初出としているものもある。
よって、作曲年は1935年としておいたが、37年としている資料もある。
コードとメロディ
キーをE♭として解説する。
1-8小節目
1-2小節目をトニックのE♭maj7、次の3-4をサブドミナントのA♭maj7、5小節目をサブドミナント・マイナーのA♭mまたはその代理コードD♭7、6小節目をドミナントのB♭7、7小節目をトニック E♭maj7 としている録音が多い。
なお、8小節目は、9小節目に向けてFm7 B♭7(ただし16小節目はE♭maj7のまま)。2小節目を、サブドミナントへのドミナントである、E♭7またはB♭m7 E♭7としている録音も多い。
ワークショップの参加者の譜面をちらっと覗かせてもらったが、冒頭を4小節目をE♭maj7 A♭7 | Gm7 Cm7 | Fm7 | Fm7 | としているものがあった。これは、おそらくVaughan(1957)の録音のコード進行を借りたものだと思われる(ただし、録音も譜面もキーがA♭であるものをここではE♭に移調してある)。ただし、実際の録音では、1小節目後半をGm7としている。これではGm7が小節線をまたいで停滞するので、こんにちでは譜面のように演奏するほうが和声的にみて合理的だと思う。なお、2小節目後半をついC7としてしまいそうになるが、メロディを考えるとCm7のほうがよいだろう(ソロのときは多少おおめにみてもよいかもしれないが)。
Vaughan(1957)の7-8小節目は、Fm7(♭5)としている(譜面がどうなっていたかは忘れた)。このコードは、ドミナントB♭7のリレイティブ・コードのひとつでありながら、サブドミナント・マイナーの響きももっている。
なお、8小節目をShearing(1949)がA♭m7 D♭7としている(32小節目も同様)。これは、機能的にはサブドミナント・マイナーであるが、このようなところはいかにもシアリングらしいセンスである。