Someone To Watch Over Me

Someone To Watch Over Me

基本データ

  • 作曲年:1926年
  • 作曲:George Gershwin (1898-1937)
  • 作詞:Ira Gershwin (1996-1983)

参考音源

Frank Sinatra / The Voice of Frank Sinatrat (1946)
Axel Stordahl編曲。キーはA。
Ella Fitzgerald / Pure Ella (1954)
ヴァースから歌う。キーはA♭
Chet Baker Sings And Plays (1955)
バド・シャンクのフルートをフィーチャーした印象的なイントロで始まる。キーはCだが、ブリッジのみのトランペットソロ中はEに転調している。
Sarah Vaughan / George Gershwin Songbook (1959)
ヴァースから歌う。キーはG。

曲目解説

1926年のミュージカル Oh, Kay! の挿入歌。Kayとは、George Gershwinの恋愛上・音楽上のパートナーであるKay Swift(スタンダード・ナンバーFine And Dandyは彼女の作曲)にちなんでいるという説もある。

JazzStandards.comの記事によれば、このミュージカルの制作期間中、作詞者のIraは虫垂切除のため6ヶ月入院していて、Howard Dietzが作詞を手伝っている。挿入歌のうち、Dietzの名前がクレジットされているのは、Oh, Kay! と Heaven on Earthである。Someone To Watch Over Meについて彼のクレジットはないが、Dietzによれば作詞の補佐をし、曲のタイトルもつけたと主張している。

メロディとコード

キーはインストゥルメンタルで演奏することの多いE♭として解説する。

2小節目

オリジナル・スコアではおそらくA♭maj7 A♭dimではないかと思われるが、さまざまなリハーモナイズが可能である。例えば、 Am7(♭5) D7やA♭maj7 / Am7(♭5) D7など。

3小節目

おそらくオリジナルでは、E♭maj7/G F♯dim7であるが、ここもE♭maj7/G / Am7(♭5) D7のように演奏することもある。

4小節目

オリジナルはB♭7/F Edimで、この場合のEdimはC7(♭9)/Eという意味である。

4小節目

オリジナルはB♭7/F Edim7で、この場合のEdimはC7(♭9)/Eという意味である。

7-8小節目

ここはさまざまな進行が可能でありセンスが問われる。ある古い録音では、E♭maj7 G7 | A♭maj7 B♭7 | のように演奏していた。

15-16小節目

ここもさまざまなハーモナイズが可能。

原曲と思われるスコアでは、E♭maj Fm7 | Gm7 E♭7 |のように順次進行を取り入れたものになっている。

いっぽうSinatra(1946)のように、E♭maj7 A♭m | E♭maj7 E♭7 | のように、トニック・メジャー-サブドミナント・マイナー-トニック・メジャーという進行を取り入れることもできる。

17-20小節目

オリジナルはおそらく、A♭maj7 | A♭maj7 | A♭m | E♭maj7(/G) | で、Sintara(1946)もこの進行を採用している。

ただ、こんにちさまざなまバリエーションがある。Ella(1954)は、A♭dim A♭maj7 / / | A♭maj7 / / A♭m | E♭maj7/G / / G7 | Cm | は、|リハーモナイズのさきがけのひとつかもしれない。

21-24小節目

ここもさまざまなバリエーションがあるが、オリジナルはAm7(♭5) D7 | G7 | Cmaj7/E | Fm7 B♭7 | といったところだろうか。これは、こんにちのよく耳にする進行(たとえばジャズのジャム・セッションなどに便利な曲集が採用するような)に慣れた耳にはかえって新鮮に聴こえる。

私は、Am7(♭5) D7 | G7 G7/F | Em7 A7 | Fm7 B♭7 | のようにリハーモナイズした気になって得意になっていたことがあったが、今あらためて調べてみると原点回帰に近いものがあって赤面してしまう。恥知らずも甚だしい。無知とは恐ろしいものだ。