The Song Is You #
基本データ #
- 作曲年:1932年
- 作曲:Jerome Kern (1885-1945)
- 作詞:Oscar Hammerstein II (1895-1960)
参考音源 #
- Charlie Parker(1952)
- Now’s The Timeなどに収録。かなりリハーモナイズしているが一部は必ずしもメロディにマッチしていない部分もある。ある意味過渡期的な時代だったのかとも思う。キーはC。
- Frank Sinatra
- Reprise Collectionなどに収録。キーはB♭。
曲目解説 #
この曲は、もともと1コーラス32小節で書かれている。冒頭のメロディの音符8つはいずれも8分音符で1小節におさまる。ところが、ジャズではこれらの8分音符を1拍として、8つの音符を4/4拍子で2小節あるかのように演奏する(ダブル・タイム・フィール)。したがって、冒頭のメロディの音符8つを4分音符とし、1コーラスを64小節して記譜することも可能であるが、ここでは原曲の記譜通り、1コーラスを32小節として解説する。また、キーはCとする。
なお、しばしばダブルタイムフィールで演奏する曲はこのほかLover Come Back To Youや、Sarah Vaughanのようにアップテンポで演奏する場合のThat’s Allなどがある。
メロディとコード #
1-2小節目 #
Cmaj7 E♭dim7 | Dm7 G7 |である。2小節目はCdimと書いても構わない(いずれもコードトーンは同じで、いわゆるトニック・ディミニッシュ)
特に問題ないと思っていたのだが、ある曲集ではC♯ディミニッシュとなっているそうで、ワークショップではちょっと話題になった。Cdim7とするべきところを、出版のいずれかの過程で「♯」が紛れ込んでしまったのだろう。
なお、Cmaj7 C♯dim7 | Dm7 G7 | 自体はたまに見かける進行だが、C♯dim7のところのメロディ(B C- C B)は、C♯dimでは衝突してしまう(ここでは誤りと断じてよかろう)。したがってCdim7あるいはE♭dim7とすべき。
3-4小節目 #
Em7 A7 | Dm7 G7 | でもよいが、Em7 A7 | Dm7 Fm | もよい。この場合、5小節目はEm7とするのがスムーズ。
なお、この箇所はCmaj7 C♯dim Dm7 G7 | としてもよい。実際Sinatra(1980)がそのように演奏している。
もちろん、3小節目冒頭はCmaj7でも構わない。
15-16小節目 #
大雑把にはCmaj7で、ブリッジに転調するためにおしまいをF♯m7 B7などとすればよいのであるが、ダブルタイムフィールで演奏する場合、実質的に3小節もCmaj7が続くために何らかの和声的な処理をしておく必要がある。
具体的には、Cmaj7 Fm | Cmaj7 / F♯m7 B7 | あるいはCmaj7 C7 Fmaj7 F♯dim | C/G / F♯m7 B7 | など。
21-22小節目 #
大雑把には、G♯m | C♯7 | なのだが、G♯m G♯m(♯5) | G♯m6 C♯7 | のようにクリシェにしてもよい。
23-24小節目 #
C♯m7 F♯7 | F♯m7 B7 | だが、24小節目はF♯m7 B7 Dm7 G7 | とすることを好むプレイヤーもいる。
25-32小節目 #
AABAの最後のAなのだが、この曲の場合、最後のAはブリッジ前のAとメロディ、ハーモニーともに大きく異なることに注意(このような曲にはほかにSpeak Lowなどがある)。
具体的には、27-28小節目がGm7 C7 | Fmaj7 B♭7 | など。メロディもたいへんドラマティックである。27-28小節目のメロディのために冒頭からの26小節が存在しているかのようである。