Take The “A” Train

Take The “A” Train

基本データ

  • 作曲年:1939年
  • 作曲:Billy Strayhorn (1915-1967)
  • 作詞年:1944年
  • 作詞:Joya Sherrill (1924-2010)

参考音源

Dule Ellington / Never No Lament: The Blanton-Webster Band (1941)
初録音。キーはCで、途中でE♭に転調する。定番のイントロ(4小節)、ジャム・セッションでもセカンドリフとして演奏される旋律なども含まれている。
Clifford Brown-Max Roach / Study In Brown (1955)
ブラウン=ローチ・クインテットの名盤にも収められている。イントロとエンディングの描写は地下鉄というよりも長距離列車のイメージか。
Charles Mingus / Pre Bird (1960)
この曲はしばしばExactly Like Youとの類似性が指摘されるが、このテイクではまさにその曲が同時に奏でられている。

曲目解説

デューク・エリントン楽団のレパートリーで、もっとも有名なジャズ・ソングの1曲。ちなみに、“A” Trainとはニューヨーク市内を走る地下鉄A線のこと。

コードとメロディ

以下、キーをCとして記述する。

ホールトーン・スケール

イントロ、および3-4小節目はホールトーン・スケール(全音音程ばかりの6音音階)でできていて、この曲を特徴づけている。3-4小節目のコードはホールトーンのD7(♯5)である。D7(♯5)と書いたが、実際にピアニストがヴォイシングするときに、増5度の音を入れるかどうかという問題はあるだろう(より実際的と思われるD7(♯4)という表記もよく見かける)。しかし、コード・シンボルとはすなわちスケール・シンボルだという前提に立てば、この箇所で前提とするスケールがホール・トーン・スケールを明確にするために、D7(♯5)という表記をするという選択は理にかなっていると考える。

ちなみに、イントロでベースが何か演奏する場合にはGペダルのように演奏する。このGの音は、このホールトーン・スケールにない音のため誤りではないかと質問されたことがあるが、結論としては使用して構わない。というのは、一般に、ドミナント・ペダルやトニック・ペダルは、スケールやコードにかかわらず使うことができるからである。

21-22小節目

この箇所のD7はホールトーンではない(ホールトーンにするとメロディと衝突する)。ソロの展開でホールトーンにするという選択肢を認めるか否かは、プレイヤーの美学によるものと考える。

シャウトコーラス

初録音(1941)の3コーラス目の1-4小節目のサクソフォンセクションのソリが奏でるメロディを、シャウトコーラスとして借用することがある。

このメロディは1-4小節目、9-12小節目、25-28小節で演奏され、残りはドラムやベースなどのソロにあてられることが多い。

Brown-Roach(1955)など、ほかのシャウトコーラスを演奏することもある。