There Is No Greater Love #
基本データ #
- 作曲年:1936年
- 作曲:Isham Jones (1894-1956)
- 作詞:Marty Symes (1904-1953)
参考音源 #
- Miles Davis / Miles (1955)
- 私が調べた限りでは、これがマイルス・デイビスの最初の録音でゆっくりしたテンポで演奏している。キーはB♭。
- Miles Davis / Four And More (1964)
- マイルス・デイビス・クインテットによる実況盤。1955年の録音よりテンポが少し速い。キーはB♭。
- Sarah Vaughan / Live In Japan (1974)
- スロー・テンポの演奏が多いボーカルの演奏になかで、アップテンポで演奏している数少ないアップテンポのもの。ただし、テーマも含めて全編スキャット。キーはE♭。
曲目解説 #
ラブソングのためか、インストゥルメンタルも含め、スローからミディアム・テンポによる録音が多い。しかし、メロディやハーモニーなど、歌詞から離れて自由な素材として捉えるならば、アップ・テンポで演奏することもある。
メロディとコード #
以下、キーをB♭として説明する。
この曲にはたくさんのドミナント・セブンス・コードが登場する。紛らわしいコードとの区別も含めて、その機能、進行、テンションやスケール、リハーモナイゼーションなどについて学ぶためにも必修の曲だと思う。
1-4小節目 #
基本的に、B♭maj7 | E♭7 | D7 | G7 | と演奏することが多い。
2小節目は、ダイアトニック・コードのE♭maj7としてしまいがちだが、D7へのドミナントA7のトライトーン代理と考えてもいいし、平行調のコンテクストで考えると、よく見かけるV7へ進行する♭VI7 と同じサウンドである。理論的には、どちらも誤りではないが、大切なことは、まずは、E♭maj7とE♭7を区別した上で、意図して選択しているかということである。
同様に、3小節目のD7も、Dm7やDm7(♭5)と混同しやすいので注意。また、A♭7で演奏することもある(例えば、Davis(1964)の演奏を聞くとベースのRon CarterはA♭7が好みのようだ)。
2小節目、3小節目をトライトーン代理に置き換えると、Bbmaj7 | A7 | A♭7 | G7 | という進行にすることもできる。
さらに、1小節目をB♭7のように演奏することもある。この場合、ブルージーな効果に加えて、リズム・チェンジのサビのようなドミナント・セブンス・コードのチェインができる。ただし、このB♭7はストレート・メロディと衝突するので、特にテーマでは要注意である。
13小節目 #
理論的には、Cm7でもC7でも差し支えないが、さまざまな録音を聴く限りはやはりC7だろう。
ただし、これらを区別した上で、意図して選択しており、かつ共演者が共感していればもちろんどちらでも構わない。
23小節目 #
13小節目同様C7だろうと思う。
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