草木染め+やきいも(2003.11.15)
先日、友人と樹の話になり「そういや、去年はヤシャブシの実で草木染めしたよ」と話すと「ええ?その話知らない〜。何を染めたの?今度するときは私も呼んで。コースター染めさせて。」と言います。それで、その時のことを思い出したので、草木染めについて紹介しましょう。
「…コースターって、そんな小さいもので満足なの?ダメだろ!そんなんで満足してちゃ。わたしゃ一斗缶でやったよ。」
「は?一斗缶?」。
「草木染め」と言えば奥様がエプロンし、キッチンで大きな鍋の前で菜箸かトングを持って行うのが普通です。
もし友人と一緒にするならクッキーと紅茶を用意して、談笑しながらお互いの出来栄えを語り合う。キッチン横のダイニングにはドライフラワーが飾ってあるようなカントリー風なら言うことナシ♪ってところでしょうか。それが草木染めの一般的なイメージ。
しかし、違うぞ!
少なくともワタクシと職場のshioちゃんが体験した草木染めはそんな生ぬるいもんじゃねぇ。もっとハードでクレイジーな草木染めでした。
きっかけは、shioちゃんが職場に草木染めの本を持ってきたことでした。その本に載っている布があまりに素敵だったので、ワタクシは「草木染め、良いねぇ」と言わずにはいられませんでした。
「ねぇ、shioちゃん。一緒にやろうって言ったら来る?」とたずねると「やりましょう!」ととっても良い返事が返ってきました。そうか!やっぱりやるしかないよね!初めての者同士、一緒にがんばろうね!
そうとなったら何を染めるかで悩みます。ワタクシはストールやスカーフのような首に巻く小物が大好き。染めるならストールかなぁと思うもののストールを単色で染めるのではつまらないし、初挑戦のためにわざわざ白い布を探す気にもなれない。そんなわけで、家にあった白地に黒の模様が入ったスカーフと、白いシャツを染めることにしました。どちらも趣味が変わって使わなくなっていた衣類です。新しいイメージに変身できるかな?
shioちゃんは布地を用意。なるほど、生地なら色んなものに使えるね。
しかし、お互いに初めてのくせに失敗をいとわない大物狙い(大きいほどムラになる危険を秘めている)。それじゃ普通の大きさの鍋なんかじゃおさまらないよ。それに、汚すかもしれないから出来れば屋外でやりたい…。
この意向をshioちゃんに伝えると「i-boshiさん!職場の薬品が入っていた一斗缶もらっていきましょうよ!」と提案がありました。そうか、一斗缶かぁ。それなら楽勝だよね。
さて、当日。shioちゃんはわが家に来れば何とかなると思っていただろうけれど、相手はワタクシ。客人だろうがなんだろうが容赦なくコキ使います。
まずは染めるための材料集め。なにせたくさんの染液が必要だから材料もたくさん必要。一輪車を押してヤシャブシの木の下まで行き、上からバラバラとちぎっては落としました。枝を押さえたり、一輪車を動かしたりと「ふたりはチーム♪」ってカンジ。
一斗缶にお湯を沸かすのにも、かまどがあるわけじゃないから、これまた大量の枯れ木を拾ってきて直火炊(焚)きにしました。
そして、わが家でやるからには当然息子たちがいるわけです。火はこわいけど、楽しくて暖かいものであることも知ってほしい。家の中で見てるだけじゃなくて、一緒にやろうね。
でも、こどもに「草木染めに興味を持て」と言うのも(個人差があるとは言え)無理な話。お付き合いいただくからには、それなりに楽しめるオプションをつけなきゃ。それがわが家の冬の恒例であるやきいもでした。
草木染めの簡単な説明は下記のとおり。
【草木染め】 準備するもの ●染めるもの(木綿や絹) ●染液(ハンカチ1枚でで3リットルほど)=水+植物材料 ●媒染液(色を定着するために用いたり、 化学反応で発色させるために必要です)=水+媒染剤 ●用具類 ・ボウル、ざる、はし 他 作り方 1.染液を作ります。 材料によって扱いは違いますが、一般的には染めるための材料(植物ならどんなものでもそれなりに色が出ます。紅茶やコーヒーでも可。)を水にひたひたになるぐらい入れ、沸騰したら中〜弱火にして20分ほど煮出し、熱いうちに漉します。 2.染めます。 染めるものを湿らせてから(湿らせるとムラになりにくい)染液に浸けます。ムラにならないよう、ゆっくりかき混ぜてなじませます。 3.染液ごと、もう一度火にかけます。 沸騰したら15分ほど煮た後、火を止めて冷まします。 4.染めたものを取り出します。 染液が冷めたら取り出します。媒染しない場合は、水で色が出なくなるまで丁寧にふり洗いし、日陰干しにすれば完成です。媒染する場合は、染液を捨てないで下さい。あとでもう一度使います。 5.媒染します。 媒染液(媒染剤については下記のとおり。50℃前後のお湯で作ります。)に染液から取り出した物を入れ、気泡が出来ないようにゆっくりとかき混ぜます。その後、浮き上がってこないように気をつけて、約20分浸けておきます。 6.再び、染液に戻します。 もう一度染液に戻して火にかけます。沸騰したら火を止め、そのまま冷まします。 7.冷めたら取り出します。 色が出なくなるまで、流水で洗いましょう。 8.よくしぼって乾かします。 布の形を整えて、日陰干しにしましょう。乾いたら完成です。 【媒染剤について】 ■みょうばん〈アルミ媒染〉 料理に使われる材料なので手軽。 全体的に明るい色仕上がりになります。ワタクシとしては黄色っぽくなるイメージ。 焼きみょうばんを使う場合は、染めたい布の重さに対して3〜10%の分量で使います。水500ccに8gが目安。 ■酢酸銅〈銅媒染〉 染料店で購入します。手に入りにくい媒染剤といえます。 調理用具の併用をさけ、場所もキッチンを避けましょう。 落ちついた色仕上がりになります。ワタクシとしては茶色っぽくなるイメージ。 染めたい布の重さに対して1〜3%の分量。希釈濃度により注意が必要なので、購入時の説明書きを読んだほうが良いでしょう。 ■木酢酸鉄液〈鉄媒染〉 染料店で購入するのが普通ですが、鉄媒染用の【おはぐろ液】は自分で作ることも出来ます。(作り方は↓) 渋く暗い色に仕上がります。ワタクシとしてはグレーっぽくなるイメージ。 染めたい布の重さに対して1〜3%の分量で使います。 |
▲shioちゃんと長男。 かまどが無いから、ブロックを組んで そこに一斗缶を乗せました。 でも、下からの火だけじゃ足りなくて、 横にもジャンジャン火をくべて湯を沸かすことに。 下よりも横から沸騰するのが見えてオドロキ。 そして、この火の中にアルミ箔で包んださつま芋を 投げ入れます。火力が強いので、焦げることもしばしば。 大体は30分位でアツアツの美味しい焼いもの出来上がり。 |
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中に見えるストライプの布が、shioちゃん持参の布。 |
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「ヒッヒッヒ…」と声が聞こえてきそう。 見ようによっては魔女が秘薬を作っているようにも見えます。 実際は「疲れたよ〜」「煙たいよぉ」が正解。 ムラにならないようにがんばって混ぜている最中です。 shioちゃん、がんばれ〜 |
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【おはぐろ液】
■おはぐろ液の保存期間は6ヶ月程度。ただし薄めた媒染液はすぐに使ってください。
準備するもの
●釘250g、酢250cc、水250cc
●焼き網、ステンレスボール、保存用のビン
作り方
1.釘は洗剤でよく洗い、脂分や汚れなどを取っておきます。焼き網などの上に釘を置き、よく焼きます。
2・十分に焼いてから冷ました釘をボールに入れ、酢と水、各250ccを加えます。
3.ボールを火にかけて煮ます。
4.水分が半量になるまで煮詰めます。
5.ビンに入れ、1週間〜10日放置します。
6.10日もすると、濃茶色になります。コーヒー用の紙フィルターで漉し、別の容器に移しましょう。
媒染するときは、これを染めたいものの重さの30〜60%の濃度の分量にし、水で薄めて使います。
←これがその時に出来上がったスカーフとシャツ。 染液の材料はヤシャブシの実(ハンノキの仲間)、媒染剤はみょうばんを使いました。 ご覧のとおり、スカーフはいいカンジになったけれど、シャツの方はムラだらけ。 出来上がってすぐはそれほどでもなかったのに、洗濯の洗剤に負けたのか、時間が経つうちに白い箇所が増えていきました。 |
外で防寒着まがいの服を着込み、一斗缶の前に立ち、拾ってきた棒っ切れを持って、おやつはやきいも。
そんな草木染めって、アリなのかしら…。
いいの、いいの!ダイナミックって貴重よ、今時!
それに、たき火で焼いたさつま芋って、レンジで蒸したり鍋でゆでたりするよりずーっと美味しい。美味しいって良いことだよね〜。
…おとなの遊びにこどもを付き合わせた一日でした。
2004.11