おうちのまわりの風習(2006.2上旬)
■非時 編


先日、近所の親戚筋でお葬式がありました。
ワタクシが嫁として、始めから最後まで出席したのは初めてのこと。何がなにやら分からないけれど、色々と教えてもらいながらお手伝いして来ました。
不謹慎かもしれませんが、地方色があって面白いと感じたこと。それから、もう少しはこの風習が続きそうな気配なので、その時の覚書にしようと思ってまとめてみる事にしました。
これは、ワタクシの初めて体験2日間の記録です。。

0日目 夜遅くに訃報がありました。

1日目 

7:40頃 新屋
      この辺りでは本家の事を「母屋(=母家・おもや)」 、分家の事を「新屋(=新家・しんや)」と言います。
      ご主人さまのお祖父さんは長男だったので、うちは母屋。今回のご不幸は新屋でのことです。
      とりあえず息子たちが眠っている朝のうちに行ってみると、ご家族は葬儀の手配の事で駆け回っていました。
      もう少しすると弔問客が増えるだろうから、と、台所を片付けて湯呑み・ポットを準備、昼食用おにぎりの手配などをしました。

      続々と弔問客がやってきます。

10:10頃 自宅
     義母が手伝いに来てくれたし、息子たちがそろそろ起きてる頃だと思っていったん帰宅。
      10:30頃に次男が起床(昨夜は遅かった…)。しばらくは息子たちの食事の用意など、自分の用を済ませます。

      近所の経験者がやって来て、非時(通夜・葬儀の際に振舞われる食事)の準備について教えてくれました。
      人数に合わせて誰が、何を、どれだけ買うか決めました。


11:30頃 新屋(次男とも)
      とりあえず昼食の準備をしているかもと思い駆けつけました。
      長男は友人宅へ行ったものの、次男は1人で留守番できないので同伴。
      ギリギリに駆けつけても特にすることもなし。集まってきたご親戚に挨拶などをしただけ。


12:30頃 義弟宅(次男預ける)新屋へ戻る
      息子の相手をしてあげられないので、義弟宅に子守をお願いする。
      新屋で食事が終わると、それぞれ買い物へと出かけていき、家の中が少し静かになりました。
      残っていた者で話していて、ちょっとしんみり。忙しさの中で涙が流れる瞬間です。


14:30頃 義弟宅新屋へ戻る(次男同伴)
      用があって義妹のところに行ったら、次男は迎えに来たと勘違い。また次男同伴で新屋へ戻ります。
      おかげさまで親戚の男の子と仲良くなった次男。じゃまするわけでもなく、子供同士で遊んでいました。
      明日の下ごしらえ…大豆を水で戻したり、さといもの皮を剥いたりは、この間に行いました。
      洗い物が落ち着いたところで、通夜参りに来て下さった方に渡す菓子を袋詰めしました。
      和菓子屋から菓子が届いており、それを詰めます。とりあえず50組用意しました。
      袋の中身は酒饅頭・最中・都饅頭の3種。中身は変わっても、3種入る事がこの辺では一般的とか。


17:10頃 自宅新屋
      長男が友人宅から戻る頃なので、自宅で待機。この時にブログ更新したりとか。
      30分ほどで長男帰宅。「お通夜の後は助六寿司が出るよ」と言ったら、夕飯がカレーの義弟宅へいそいそと出かける長男。
      義弟一家が一緒に通夜に連れてきてくれるというので、また子守をお願いしました。

19:00〜20:00頃 通夜始まり

      ワタクシと親戚の方1人がお茶汲み隊として台所へ居残り。他の方たちは通夜(夜伽)出席。
      神道なのでお坊さんでなくて神主さんですが、「神主さんのお茶はどうする?」と、裏で相談…。タイミングが分かりません。

20:00過ぎ 片付け


11:30 自宅
     葬儀屋さんが手配したクッキー、助六寿司、それから袋詰めの菓子(饅頭3個)をいただきました。


2日目
7:30 新屋集合

      非時は町内の公会所で振舞います。組の者は男女1人ずつが出席してお手伝いします。朝、ひとまず葬儀のあるお宅へ集合。
      親族が公会所の鍵を開けて、お膳・食器を押入れから出し、ほこり等が無いように拭き上げます。これを「碗拭き」と言います。
      親戚は「碗拭き」が終わると、あとはお任せして家へ戻ります。
      ちなみに組内に親戚がいる場合は、親戚筋は都合が付く限り組(町内会)を優先します。だからワタクシは炊き出しの方の手伝いへ。


雪の降る寒い日でした 組の女性は、炊き出しの準備。
まずは関係者用のおにぎりを作るために
ご飯を炊きます。
この後、再びお昼用に ご飯を炊きます。
男性はもっぱら配膳と振る舞い役なので、
朝のうちは仕事がありません。
(でも、朝から来る…。)


10:00頃 ひと休み

      新屋からおにぎりを受け取りに来ました。
      昼用の味付けと、夜用の下ごしらえはほぼ終わっており、組の人もおにぎりやお菓子でひと休み。
      ワタクシは葬儀出席のために、着替えや早めの食事をしなければいけないので、この後すぐに失礼しました。

11:30頃 公会所へ行き、非時をいただく
(うちの家族4人+義弟)

これがお昼の非時メニュー
もみじおろしはお吸い物に入れます。アゲや昆布を入れるのもまた良し。
もみじおろしは「辛い汁を飲む事でお葬式に涙を流す」という意味があるとか。
男性が膳を並べます。
これは客に汁物を注いでいるところ。
奥ではこんな風に配膳しています。


12:00頃 新屋

      息子たちはまた、義妹にお願いして預かってもらいました。
      ご主人さまとワタクシは準備のお手伝い。…といっても、すでにワタクシのすることは何も無い。
      親戚の子と遊んだり、お菓子の袋詰めの数を数えたり。
      今日の式が全て終わるまで残った方には、またお菓子をお渡しします。今度は通夜参りの菓子をばらして5種詰めます。(3種のこともあるらしい)。

13:15頃 入場

      親族は先に部屋へ入ります。血縁としては遠目なのに母屋の跡取りのためか、我々夫婦はかなり前。
      雪の日なのに窓は開け放しのため、ものすごく寒かった〜。後ろに暖房器具があったので、後ろの人がちょっと羨ましかったです。

13:30〜14:30頃 お葬式

15:00頃 斎場(火葬場)に到着

16:30頃 集骨

17:00頃 祈念祭
     なぜ祈年祭をするのか、よく分からないまま出席。仏教だと何に当たるのでしょうか?

17:40頃 再び公会所へ行き、夜の非時をいただく

夜の非時メニュー
お味噌汁の中に砂糖を入れて甘くします。この味付け、Y市西部ではよく耳にします。
白花豆はもちろん甘煮。惣菜はそれぞれ別の鍋で作ります。
しいたけだけ1切れだったのに、理由があるかどうかは分かりません。


19:00〜20:00頃 十日祭

      仏教だと初七日に当たるのでしょうか。十日目の参りを同じ日に済ませました。
      終わってから、しばらくはその場で談話。

21:00頃 片付け

10:00頃 自宅

      葬儀屋さんが用意した会葬礼、夕食詰め合わせ、それから袋詰めの菓子(饅頭5個)をいただきました。
      あとで聞いた話では、十日目(十日祭の礼として)はちゃんとした饅頭を配るとか。
      袋詰めの菓子をもらったのに…と、驚きました。

★3日目
昨夜が遅かったので、翌日に公会所の片付けをしました。片付けの作業も「碗拭き」と呼ばれ、親戚が行います。
あいにくワタクシは出勤日だったので、義母と主人に任せて失礼しました。


■こういうお葬式、神主さんも「最近ではほとんど式場を借りてする。家でするのは本当に珍しい。」とおっしゃっていました。
 確かにこの方法は、地域の理解がないと出来ません。
 正直言って、もしも自分の用事がある日に重なってしまったら「こんな習慣は困る」と思うでしょう。
 しかし、こうやって持ちつ持たれつで成り立つ日本の古き良き習慣。
 積極的…というわけではありませんが(笑)、もう少し見守ってもいいかな、と思っております。


 同じ市内でも、場所によって風習の違いのある事が分かります。
 Y市北東部に ご実家のあるearthさんの、非時に関する記事はコチラです。
●非時の味わい その1 →http://uraraka.moe-nifty.com/blog/2006/03/post_7547.html
●非時の味わい その2 →http://uraraka.moe-nifty.com/blog/2006/03/2_8dfa.html

2006.3下旬 加筆