「コレクション」

何週間か前にあるつてで、古美術商の人の所で北斎の描いた春画をみせてもらえる 機会がありました。「春画」についてはまた今度書くことにして、その時、その古美術商の人が 面白い話を聞かせてくれました。

彼の所の顧客に、非常に上品な老婦人と、言葉が悪くいえば「下品なおっちゃん」の 二人がいたのだそうですが、その二人がたまたま店内で鉢合わせ。彼の予想に反して 二人はコレクションに関して大変意気投合し、しばしば彼の店で話をはずませていたそうです。 そんなある日、そのおっちゃんが老婦人に「ぜひ、あなたのコレクションを見せて下さい」 と頼んだとき、老婦人はこう答えたそうです。「まあ、お恥ずかしい。そんな裸身をさらすようなことは 出来ませんわ。」

その 古美術商の人が言うには 「コレクションというものは恐いものでしてね。一つ、また一つと集めていくうちに  それぞれは、芸術家の作品でそれなりの個性があるのに、今度は集めた人の人間性が 映し出されるようになるのですよ。」

私には芸術作品を集めるほどの財力も才覚もありませんが、その時、ふと連想したことがあります。 一般人にとって、その人を映し出すコレクションとは友人ではないか、とね。

みなさん、友人は選びましょうね。その友人はあなたの人格の反映です。