| 2002/07/24 | 恋文 |
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弱き身の日々拾う命かな。
あなたがどうしてこんな句をお詠になったのかと不思議に思ひます。死を宣告された人の 作品の様でとても悲壮なものを感じ、私は何か不安な気持ちです。扇、どうもありがとう ございました。絵を描いて下さったとばかり思っていましたところ、大変意外でした。 本当にありがとうございました。心から感謝しています。三日にわざわざ駅までお越し下さった ことも感謝しています。あまりにも清くそして美しいこの秋の扇にそっと唇づけしたい 感情にかられます。 美しい忘れ扇に唇づけん お礼に拙い句を捧げたい気持ちです。図書館に入ったのも久しぶりでした。 何かをお読みになっていらしたあなたの静かな横顔を、立ち止まってしばらく見凝めていたことを ご存知ないでせう。心持ち蒼白く、澄んだあなたのプロフィールが図書館の知的なふいんきと よく調和してとても美しいと思ひました。 須磨の秋の山を私は楽しく想像しています。夏の六甲山へ行けなかったこと、 あなたが後悔なさっている以上に、私は惜しがって居ります。大切なものを失ったような・・ そんな気持ちです。では明日まで、さようなら。 ちなみにこの手紙を書いたとき、彼女は22歳。父は23歳。その父も今年は74歳になります。 では、おやすみなさい。 |