2002/11/09渡り廊下

高校時代の校舎は北校舎と南校舎の間が渡り廊下でつながっていました。 南校舎には特別教室が集められていて、物理や美術の時間は教科書を抱えて 移動します。屋根もないむきだしの渡り廊下は2階部分にあり、北校舎の 2階、3階の教室からはその渡り廊下を通る人たちの姿が良く見えます。

多感で恋多き乙女たち?は、それぞれに密かに好きな男子生徒がその廊下を 歩く姿を眺めるのが楽しみです。(同級生はだめですよね。一緒に移動しますから)

何週間か眺めれば、もう、何曜日の何時間目に彼が通るのかのチエックもばっちり。 どきどきそわそわしながら、遠くから、友達と笑顔で話しながら通る彼の姿を 目で探すのです。

もうちょっと勇気があって、その好きな人が部活の先輩だったりすると 用もないのに、その時間に渡り廊下を渡り「こんにちは!!」と 挨拶して、先輩が「ああ」とか言ってくれるだけで、「やった!」と 天にも昇る気持ち。

その懐かしい渡り廊下のある古い校舎も、阪神大震災の直後にすべて 建て替えられました。私が見に行った時は南校舎はすでになく、北校舎だけが 残り、渡り廊下のつなぎ部分は無残な姿をさらしていました。

美智子様の生家が取り壊されるそうですね。「両親は望まないと思う」と 美智子様は取り壊しに賛成されたそうです。古いもの、新しいもの、 入れ替わり消え去り記憶の中だけで、おぼろにその姿をとどめ、やがて その記憶していた人たちもこの世をさる。

母校の渡り廊下も、私たちの世代の記憶と共に、永遠に消えてしまうかもしれませんね。