2002/12/20

今朝の日経新聞の朝刊に前田青邨の自画像が載っていました。おもわず、くいいるように 見てしまいました。

私は前田青邨が晩年住んでいた北鎌倉の家に行ったことがあるのです。それはある偶然から 競売にかかっていたその家を見に行ったのです。北鎌倉の駅を円覚寺側に降りて左にまがって すぐの角。小さな木戸をあけると細い道がくねくねと傾斜を持って続いてい、かたわらに 咲いていたどくだみの花が何故かとても美しく見えたのが印象に残っています。

平屋建てのその家は、何年も人の気配がなかったように少し荒れていました。でも お庭は手入れの跡がないにもかかわらず、静かなとても良いふいんきを漂わせていました。

私はそれまで青邨の名前こそ知ってはいましたが、どのような絵を書いているのかは あまり印象になかったのです。でも、その家を見て以来、興味を持って観るようになっていました。

そして、今日、その自画像を見たのです。深く内面を映し出したその絵は、新聞の鮮明ではない 印刷を通しても充分に訴える力を持っていました。青邨があの平屋の縁の奥に座って 庭を見つめている・・・そんな幻を見たような気がします。

今日は良い日になりそうです。