自動車免許更新案内の葉書が来た。私はペーパードライバーなので ゴールドである。 もっぱら、「身分を証明するもの」として利用している免許証だ。 免許証に添付された小さな写真の中の私を見ると、なぜか、更新のために 最寄の警察署へとてくてく歩く自分の姿が鮮明に思い出される。 バスの乗ればよいのに、私は歩いていく。３５分ほどかかる。 汗を拭きながら、一人で人があまり歩かない車道をひたすら歩く。 不思議なほど、残暑でいつも暑い。ノースリーブのTシャツを着て、ジャケットを手に 持って歩く私は５年前、八年前、１１年前、１４年前・・と若返っていく。 不連続な定点観察をしているように、その頃の自分を思い出す。 ３５分の道を歩きながら考えていた、いろいろなことまで思い出せそうな気がしてくる。 この先、何枚の使用期限の切れた免許証の中に、小さな私の写真が遺されていくことか。 ５年になった免許の更新期間。５年という歳月は長い。いろいろなことがある。 新しい出会いもあれば、別れもある。小さな幸せと小さな心配事が続く平和な毎日で あればいいなあと願う。 そして、往復で一時間強歩いた私はいきつけの喫茶店でフレッシュのグレープフルーツジュースで 喉を潤すことを恒例の決まりごとにしている。 今年の残暑はどうだろう。