| 2002/10/25 | 思い出づくり |
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「走る」という単語は、わが高校の卒業生を一様な深い共感に陥らせる。
三年生の秋から、体育の時間はひたすら走らされる。とにかく、名簿の名前を 読み上げ、出席をとりおわるや否や、ぴっと笛がなり、50分の授業の間中ひたすら走る。 男子は10キロ。女子は5キロ。450人も生徒がいれば、なかには 「とうてい無理」と思える人がいてもいいようなものだが、これが不思議なことに 全員走れるものなのである。 「うちの息子は明日体育があるというと、夕飯ものどに通りません」 と訴えた母親がいたとかいないとか、まことしやかに噂が流れたが 体育教官室の面々は時代とともに入れ替わりながらも、この伝統は どうやら受け継がれているらしい。 「受験に打ち勝つ精神を鍛える」という名目には、はなはだ皆疑問を もちつつも、「同窓会を盛り上げる共通体験」としての効能はたいしたものだと 25年ぶりの同窓会で皆の意見は一致した。
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