2004/1/8西本願寺にて

神戸に帰ったついでに、京都を旅行してきました。

三が日を過ぎた京都は比較的人も少なく、静かでした。

最初に西本願寺に行きました。泊まったホテルから一番近く、 地理に不案内な私でも簡単に行きつけます。(笑)

お堂の広間に正座していたら、すぐ隣に生後半年ぐらいの赤ちゃんを抱いて おじいさんが座りました。

抱くといっても、普通に抱いているのではなく、縦に、顔を正面に向けて お堂を見せるように抱きかかえています。

そして、「ゆうきです。ゆうきですよ。どうぞ強い子になりますように」 と、小さな声で何度も繰り返し、やがて低く念仏を唱えだしました。

私は鼻の奥が熱くなるのをとめられませんでした。

無欲にその子の幸せだけを心から祈る姿に、 私がここのところひんぱんに考える「世代をつなぐ」という言葉が 頭をよぎりました。

なにも分からないような赤子であっても、目に映る荘厳なお堂と 耳元で響く念仏と、抱かれている手の暖かさはなんらかの形で 残っているだろうなあと思われました。

その赤ちゃんのおかあさんも、おばあちゃんも側にきっといたでしょう。 でも、おじいちゃんが抱いて、祈る。 一心に、無私に。

私は鎌倉に時々行きますが、あのように広い畳敷きのお堂に 自由に入れる場所を私は知りません。

昔、都だった京都に暮らす人の幸せだと思いました。