2004/1/28マニュアル

「マニュアル」という言葉が定着して久しい。

私の記憶に残る最初の「マニュアル」という言葉は、 マクドナルドでは店員を何百という細かいマニュアルで教育しているという 遠い昔の新聞記事だったと思う。

「アメリカから入ってきた新しい画期的な教育法」というようなイメージだった。 だれもが、同じように業務をこなすことができる。

私が住んでいるマンションには隣に大きなスーパーがたっており、 その駐車場に出入りする車をさばくガードマンが道路わきにたっている。

このマンションに住んで20年になるが、はじめて、マニュアルを超えた 交通整理をするおじさんに出会った。

なにも、踊りながら交通整理をするとか、笛をふくのが上手いとか、 そういうものではない。ただ、朝には「いってらっしゃいませ」とか 夕方なら「お疲れ様でしたあ」とか道行く人に声をかけるだけなのだが、 その挨拶はマニュアルではなく、なんだかほんとに嬉しくなる声かけなのだ。

この間、娘と一緒に歩いたら、なんと娘もこう言った。 「あのおじさんに挨拶されるとなんか嬉しいんだよねえ」!!

交通整理のおじさんに「おかえりなさい、おつかれさまでしたあ」と 言われて18歳の高校生がちゃんと嬉しい気持ちになる。 こんなわざは尋常ではない!

あれだけ声をかけてくれるおじさんに、私が返事できたのは つい最近だ。やっぱり、照れる。 ほとんと無反応の人が多いだろうに、それでもおじさんは 人を気持ちよくさせる声をかけつづけている。 心底、「すごいなあ」と思う。

「マニュアル」をはるかに超えたおじさんに脱帽だ。