| 2004/3/4 | あのコンサート |
|---|
|
私が子育て真っ最中の頃、私の日常生活の中は右を見ても、左を見ても
同年代の子育て中の主婦しかいなかった。
毎日、朝10時には全ての家事をすませて公園へ行き、家で昼食をとり
子供が昼寝をしている間に夕食の支度をして、午後3時からは昼寝からさめた
子供を連れて買い物へ。夕方6時には夕食を一緒に食べ、お風呂に入り
8時には子供を寝かしつけ、その後少し新聞を読んだりテレビを見たりして私も寝る。
延々と続くこの毎日が10年間。規則正しく清く正しく(笑)。 夜の居酒屋も、レストランも、映画館も、いったいそんなものが存在しているのかどうかさえ さだかではない生活。 それがある時、たまたま何かの用事で夜7時ぐらいに外を歩き 世の中にはこんなにたくさん働く男性がいたのだと、はたと気づいて苦笑した。 さて、子育ても終わって自由な時間と多少の経済的余裕を手にした現在の 私だが、どこにいっても、場所と時間帯によって、かなり棲み分けの 状態が過剰であることにあらためて気づく。 昼間の住宅街の、あるいはホテルの洒落たレストランは90パーセントが 女性。夜の新橋はやはり圧倒的にサラリーマンだし、表参道にいけば 妙にこじゃれた女性達。コンサートに行っても、絵を観に行っても、映画に行っても どこにいっても、必ずなんらかの人種偏りがある。 こんな日常を観察するにつけ、「あのコンサート」はすごかったと思い出す。 老若男女。あれほど幅広い客層がいたコンサートを私は知らない。 やっぱり私が惚れた男はすごい・・と、その時私は誇らしい気分だった。 私が惚れたその男は・・正確には勝手にあこがれていたその人は・・ もう、死んでしまった。私が惚れたその男は自分の妻にも娘にも息子 めちゃくちゃ愛され、もちろん妻と娘と息子ををめちゃくちゃ愛していた。 娘が出演した「徹子の部屋」を見て、「やっぱりそうだった」と 嬉しかった。 愛する人でなければ、愛される資格はない。 あらゆる人間に対して熱かった彼は、 あらゆる人種を惹きつけたのだと、やはりそうなのだと 「あのコンサート」を思い出す。
|