| 2004/4/11 | 桜 |
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最近、電車に乗ると、しばしば「人身事故」で電車が止まる。
真夏の暑い時と、年の暮れに例年増えることにはもう何年も前から 気づいていたが、この4月の陽気のいい季節に、今年は多い。 この間も東京から戻る途中、川崎の手前で止まった。車内放送がかかっているのだが 声がじゃっかんちいさいのと、いっぱい気分のおじさんが大声でご機嫌でゴルフ談義を していて、その声が邪魔で放送が聞き取れない。 当のおじ様たちは、話に熱中して、なんと電車が止まっていることにさえ気づいていない。 「静かにしてほしいなあ」と思いつつ時折後ろを振り返ってみるのだが、顔を赤くした おじさんたち・・おじさんというよりはおじいさんの年齢に近いようで、人のよさそうな ご機嫌な赤ら顔を見ていると、何もいえなく、ただ「バンカーに云々」などと 気持ちよく大声で笑う声をしばらくがまんして聞いていた。 再び電車が動き出し、おじさんたちは川崎手前の桜並木を見て 「戸塚の桜並木かあ〜」などと言っていたが、しばらくして「おや、まだ川崎だよ。」 と不思議そうな声をあげている。 夜の闇に桜が浮かぶ。「人の死体の上にはえる」と言ったのはだれであったか・・ 苦しみをかかえた人が又一人。じっと耐え忍ぶ 時間を待てずにこの世を去った。その間、列車は止まり、乗客は止まった列車の中で 動き出すのをじっと耐え、再び列車は動き出し、列車が止まっていたことに気づかぬ 乗客は桜並木をみまちがえる・・ 桜は去年も今年も来年も花を咲かせる。爛漫と咲かせるか、咲くに咲けず葉桜となるか・・ そしてまた、人も運命の中で、花を咲かせようと生き、死んでいく。
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